
XCOM® 2
開発: Firaxis Games発売: 2K¥1,190
ストラテジー
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
「あの兵士が死んだのは、自分のせいだ」——そう思わせるゲームは、そう多くない。XCOM 2はターン制ストラテジーというジャンルの中でも、プレイヤーに強烈な「責任感」を植えつけることで知られる一作だ。1マスの移動ミス、1ターンの油断、1回の過信。それが優秀な兵士の命取りになる。だからこそ、ミッションをクリアしたときの達成感は格別で、「今日はここまで」と思っていたはずが気づけば深夜になっている。
前作「XCOM: Enemy Unknown」から20年後の世界。人類はエイリアンとの戦争に敗れ、表向きは「平和な共存」を謳う新秩序に支配されている。プレイヤーが率いるXCOMは、もはや国連が後ろ盾の正規軍ではなく、世界各地を飛び回るゲリラ部隊だ。この設定の転換が、ゲームプレイの根幹を変えている。守るのではなく、奪い返す。正攻法ではなく、奇襲と撤退を繰り返す——XCOM 2はその緊張感を、あらゆるシステムに織り込んでいる。
戦闘の基本はカバーを活用した移動と射撃によるターン制戦術だが、XCOM 2が前作から大きく進化させたのが「コンシールメント」システムだ。多くのミッションは、XCOM部隊が敵に発見されていない「潜伏状態」から始まる。発見前に先制攻撃を仕掛けることで一方的に有利な展開が作れるが、欲張って動きすぎると警戒態勢の敵に囲まれる。この序盤の"静けさ"が、後半の"混乱"と対比されることで、1ミッションの中に大きなドラマが生まれる。
もうひとつ、プレイヤーを常に追い立てるのが「アベンジャータイマー」だ。ゲーム全体を通じて、エイリアン勢力は「アバタープロジェクト」という計画を進行させており、これが完成するとゲームオーバーになる。ただ堅実に戦うだけでは負ける。各地のミッションを攻略してプロジェクトを妨害しながら、研究・施設拡充・兵士育成を並行して進める必要がある。このリソース管理と時間のプレッシャーが、「次はどこを攻めるか」という戦略層の判断に常に緊張感を与える。
兵士はミッションをこなすたびに経験を積み、クラスに応じた固有スキルを習得していく。スナイパー、レンジャー、スペシャリスト、グレネイディア——それぞれの役割が明確で、部隊の編成を考えるだけで一種の楽しさがある。さらに、兵士に名前やニックネームを付けられるため、長くともに戦った兵士への愛着が自然と生まれる。だからこそ「パーマデス(永続死亡)」が刺さる。キャラクターが死んだとき、それは単なるリソースの喪失ではなく、物語の一部が失われる感覚だ。
グラフィックは2016年の作品とは思えないほど細部まで作り込まれており、未来的なエイリアン建築と荒廃した人類の廃墟が混在する世界が視覚的に説得力を持っている。音楽はマップの状況に応じて動的に変化し、潜伏中の静けさから戦闘突入時の緊迫したオーケストラへと切り替わる演出が、没入感を高める。
同ジャンルの作品として「Into the Breach」や「Phantom Doctrine」が挙げられるが、XCOM 2はそれらと比べてキャンペーン全体のスケール感と、兵士への感情移入という点で頭ひとつ抜けている。Into the Breachがパズル的なクリーンさを持つのに対し、XCOM 2は「計画が崩れるカオス」を楽しむゲームだ。「フルウォーロング」などの難易度でプレイすれば、ミスを許さない緊張感はFire Emblemシリーズのハードモードにも匹敵する。
プレイ時間はキャンペーン1周で30〜50時間。「War of the Chosen」などのDLCを合わせると優に100時間を超える。Steam ワークショップには膨大なModが公開されており、新しいクラスや新マップ、ビジュアル改善Modを入れることで賞味期限は大幅に延びる。コミュニティによって継続的に拡張され続けているのも、このゲームの強みだ。
注意点を挙げると、ランダム性に由来する理不尽さは避けられない。命中率90%で外すことは普通に起きる。また、難易度「コマンダー」以上はかなり手強く、チュートリアルなしで始めると序盤で手詰まりになるケースもある。長期キャンペーンで取り返しのつかない失敗をしたとき、やり直す気力が萎えることもある。「負け確定」の状況からでも粘り続けられるメンタルが求められる。
「ターン制ストラテジーをやったことはあるが、もっと物語と感情移入が欲しい」と思っているプレイヤーや、Fire Emblemで育てたキャラが死んだときの喪失感が好きな人には強くおすすめできる。反対に、運要素や理不尽な死に過剰にストレスを感じるタイプ、またはリアルタイムアクションに慣れていてターン制のテンポに馴染めない人には合わないかもしれない。¥1,190という価格は、このボリュームと完成度を考えれば圧倒的なコストパフォーマンスだ。
スクリーンショット











