
Risk of Rain 2
開発: Hopoo Games発売: Gearbox Publishing¥848
アクションインディー
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
最初のランに死ぬとき、あなたはきっと「あと少しだった」と思うはずだ。そしてすぐに「もう一回」とボタンを押している。Risk of Rain 2 はそういうゲームだ。ローグライクというジャンルの本質——死んでも楽しい、むしろ死ぬたびに強くなっていく自分を感じる——を、三人称視点の爽快なサードパーソンシューターとして昇華させた傑作である。
ゲームの仕組みは単純に見える。未知の惑星に不時着した主人公が、モンスターを倒しながらアイテムを集め、脱出を目指す。各ステージをクリアするごとに次のエリアへ進み、最終的にはボスを倒してクリアか、力尽きてゲームオーバーかのどちらかだ。しかし、この「アイテムを集める」という部分が想像を絶するほど奥深い。ゲーム内には100種類以上のアイテムが存在し、それらが複雑に絡み合うことで、まったく予想外の爆発的なシナジーが生まれる。攻撃のたびに雷が落ちるようになり、その雷がさらに連鎖して画面全体が光り輝く——そんな光景がごく普通に発生する。ビルドが噛み合った瞬間の「俺は今、神になっている」という感覚は他のゲームでは味わえない。
操作の手触りは滑らかで気持ちいい。デフォルトキャラクターのコマンドーは軽快なダッシュとショットで動き回り、学習コストが低い。一方で解除できるキャラクターたちはどれも個性的で、近接格闘特化のマーセナリー、ドローンを召喚するエンジニア、移動能力が特異なローダーなど、まるで別ゲームのような感触を持つ。キャラクターを変えるだけでプレイスタイルが根本から変わるため、100時間遊んでも飽きない構造になっている。
テンポの設計も秀逸だ。このゲームには「難易度タイマー」という概念があり、時間が経過するほど敵が強化されていく。のんびり探索していると手に負えない敵が押し寄せてくるため、常に「もっと進まなければ」という緊張感がある。それでいて、アイテムを全部回収してからステージを進みたいという欲望と常に葛藤することになる。この絶妙な引っ張り合いが、ランのたびに異なるドラマを生み出す。
ビジュアルは鮮やかで独特だ。前作の2Dピクセルアートから大きく転換し、3Dになったことでスケール感が一気に増した。巨大な空を飛ぶ生き物、荒涼とした惑星の景色、ボスキャラクターの圧倒的な存在感——どれもローポリ調のアートスタイルで統一されており、独自の美学がある。そしてサウンドトラックが素晴らしい。クリス・クリステオドゥールが手がけた楽曲は、緊張感のあるシンセサイザーサウンドが戦闘の熱量を高め、特にボス戦の曲は何度聴いても鳥肌が立つ。BGMを聴くためだけにプレイし続けたくなる。
世界観については意図的に謎が多い。公式な説明はほとんどなく、アイテムのフレーバーテキストやステージの雰囲気から断片的に世界の輪郭が見えてくる。なぜこの惑星にこれほどのモンスターがいるのか、主人公は何者なのか、積み上げられた証拠の断片を自分で解釈していく体験は、SCP財団やLovecraftの作品に通じる「説明されないことで増す恐怖と魅力」がある。ネタバレ抜きで言えば、ゲームには隠された真エンディングが存在し、そこに至る過程で世界観の一端が明かされる。
同じローグライクジャンルの Hades と比較されることが多いが、方向性はかなり異なる。Hades がギリシャ神話の濃密なストーリーと洗練された近接戦闘を売りにするなら、Risk of Rain 2 は「ビルドの爆発的なシナジー」と「無数のキャラクター×アイテムの組み合わせ」を楽しむゲームだ。Vampire Survivors や Brotato が好きな人はこちらの路線に近い感覚を持つだろうが、Risk of Rain 2 はより能動的な操作とポジショニングが求められる点で難易度が高い。
プレイ時間の目安としては、まず1周クリアまでに5〜10時間ほどかかる。しかしそこからが本番で、全キャラクターの解除、実績の達成、高難易度「モンスーン」や「エクリプス」への挑戦と、やり込み要素は果てしなく続く。Steam の平均プレイ時間は200時間を超えるプレイヤーが珍しくなく、筆者の周囲にも「気づいたら300時間経っていた」という人間が複数いる。
注意点も正直に書いておく。ランダム性が高いため、アイテムの引きが悪いと「これは勝てないラン」と感じることがある。序盤はキャラクターも少なく、ゲームの奥深さが見えにくいため、最初の数時間は地味に感じるかもしれない。また協力プレイは4人まで対応しているが、人数が増えると画面が混沌を極め、何が起きているか把握しきれないカオスになる(これを楽しめるかは人による)。
こういう人に強くおすすめしたい。「死んでも悔しくない、むしろもう一回やりたくなるゲームが好き」「アイテムのビルドを考えるのが好き」「友人と協力しながら大笑いしたい」——そういう人には間違いなく刺さる。逆に、明確なストーリー進行を楽しみたい人、操作に不慣れでアクションゲームが苦手な人、ランダム性に強いストレスを感じる人には合わないかもしれない。
848円という価格設定は、このゲームの価値に対して明らかに安すぎる。下手をすれば人生で一番コスパの良い買い物になるかもしれない。
スクリーンショット











