Cult of the Lamb

Cult of the Lamb

開発: Massive Monster発売: Devolver Digital¥1,285
アクションアドベンチャーインディーストラテジー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

子羊として処刑されかけたその瞬間、謎めいた古い神「ワン(The One Who Waits)」に命を救われる。その代償として、あなたは神の名のもとに教団を築くことを誓わされる。可愛らしい見た目の子羊が、狂信的な信者を束ねる教祖として君臨していく——このゲームの核心は、その根本的なねじれにある。かわいいのに不穏、コミカルなのに本質的にダーク。このギャップが「Cult of the Lamb」を単なるローグライクにも、単なる拠点経営ゲームにもさせない、独自のポジションを生み出している。 ゲームプレイは大きく二つの柱で構成されている。一つは「ダンジョン探索(ローグライクパート)」、もう一つは「教団経営パート」だ。探索では、呪われた4つの地域をランダム生成されたマップで進んでいく。武器は剣・斧・ハンマー・杖などがあり、フロアごとに拾うカードで能力を強化していくシステムは「Hades」や「The Binding of Isaac」に近い。攻撃とローリング回避を組み合わせた操作感はテンポよく、慣れてくると敵の攻撃パターンを読みながら立ち回る爽快感が出てくる。ただし、このゲームのローグライクパートは「Enter the Gungeon」のような高難易度を求めるものではなく、あくまでリソース収集と経営パートの燃料補給という位置づけだ。 経営パートこそ、このゲームの真骨頂といえる。ダンジョンから帰還するたびに、信者に礼拝を行い、食事を与え、宿舎を建て、農地を耕し、施設を整備していく。信者はリアルタイムで老い、病気になり、死ぬ。信仰心が下がれば反乱が起きる。「教義(ドクトリン)」システムでは、信者を強化する教えも選べる一方で、「老いた信者を肥料にする」「遺体を食料に加工する」といった倫理的にグレーな選択肢も用意されている。これらを採用するかどうかはプレイヤーに委ねられており、そこに「あなたはどんな教祖になるのか」というテーマが静かに息づいている。 ビジュアル面での完成度は特筆に値する。一見すると子ども向けアニメのような丸みのあるキャラクターデザインと、暗い儀式の描写が同居している。信者たちの表情はころころ変わり、喜んでいたと思えばすぐに不満げになる。教団の施設が増えていくにつれて、最初は殺風景だった土地が独特の狂気じみた宗教都市へと変貌していく様子は、視覚的な満足感が高い。サウンドトラックもこの世界観と見事にマッチしており、探索時はアップテンポな不穏さ、教団では穏やかに聞こえつつも少し歪んだ牧歌的な音楽が流れ、精神的にじわじわと何かを侵食してくるような効果を生み出している。 世界観の背景には、「旧の神々(Old Faith)」と「ワン」の対立という大きな構図がある。ボスたちはいずれも旧い神の司教であり、倒すことでその力を奪い、ワンを封じた呪いを解くという目的が示される。ストーリー自体はそれほど複雑ではないが、各ボスのキャラクターが個性的で記憶に残る。ネタバレは避けるが、エンディングに向けての展開には「このゲームはずっとこれを言いたかったのか」と気づく瞬間がある。表面上の可愛らしさの奥に潜む問いかけが、プレイ後の印象をより深くしてくれる。 同ジャンルの比較として、経営パートだけで見れば「Stardew Valley」の宗教的バージョンに近い感触があるが、あちらほどゆったりとした時間の流れではない。信者の世話を怠れば即座に結果に出るため、常に次の行動を考え続ける必要がある。ローグライクとしては「Hades」ほどの深みはないが、両要素が互いに補い合う構造は「Rogue Legacy」シリーズに近い感覚だ。「経営ゲームもアクションも両方やりたいが、どちらかに特化した難しさは求めていない」という層に刺さる設計といえる。 初回クリアまでは10〜15時間程度。ただし教義や建物の解放要素、隠しアイテムなどのやり込みを含めると20〜30時間は十分に楽しめる。複数の教義の組み合わせを変えた周回プレイや、マルチプレイ(分割画面・Remote Play Together対応)で友人と一緒に探索する楽しみ方もある。アップデートによって追加されたコンテンツも多く、現在は初期リリース時よりも遊び応えが増している。 一方で、注意点もある。経営パートのルーティンは中盤以降に若干単調に感じることがある。信者の世話→ダンジョン→戻って礼拝→また探索、というサイクルが繰り返しになってくると、テンポの良さが義務感に変わる瞬間がある人もいるだろう。また、ダークユーモアが前提のゲームであるため、宗教や死を題材にしたコンテンツに不快感を覚える人には向かない。ローグライクの「失敗と成長」サイクルを純粋に楽しみたい人にとっては、経営パートが邪魔に感じる可能性もある。 「かわいいキャラクターで道徳的に問われる選択をしたい人」「経営とアクションをバランスよく楽しみたい人」「独特の世界観と音楽に浸りたい人」には強くおすすめできる一本だ。一方で、高難易度ローグライクや緻密な都市建設ゲームを求めている人には、どちらも中途半端に感じるかもしれない。¥1,285という価格帯を考えれば、そのユニークな体験のコストパフォーマンスは十分高い。
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スクリーンショット

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