
デイヴ・ザ・ダイバー
DAVE THE DIVER
開発: MINTROCKET発売: MINTROCKET¥1,320
アドベンチャーカジュアルRPGシミュレーション
Steam レビュー
圧倒的に好評
PlayNext レビュー
昼は海に潜り、夜は寿司屋を切り盛りする。この一文だけで「それって結局どっちが本番なの?」と思う人は多いはずだ。デイヴ・ザ・ダイバーの核心は、その問いへの答えが「どちらも本番」だという点にある。ダイビングパートで食材を獲らなければレストランが回らない。レストランの売上がなければ装備が強化できず、深海に潜れない。この二つのループが互いを補強し合い、プレイヤーを絶えず「もう一潜り、もう一営業」と引き込み続ける。
ブルーホールへのダイビングは、毎回同じ場所に潜っているにもかかわらず、地形や出現する生物が変化する半ランダム生成仕様になっている。浅瀬では色とりどりの熱帯魚が群れ、水深が増すにつれてエイや巨大ウツボ、果てはプレイヤーを一撃で仕留めかねないサメやマグロが出現する。銛で魚を仕留めるアクションは直感的で、近距離を狙えば自動的に命中する設計のおかげで初心者でもストレスなく入れる。一方で、深海ボスや珍しい大物を正確に仕留めたいなら、弾種の使い分けや回避タイミングの習熟が要求され、ほどよい奥行きがある。酸素残量を管理しながら収益と安全のバランスを取る判断が、一潜り一潜りに緊張感をもたらす。
夜の寿司レストランパートは、レシピ管理と接客を組み合わせたマネジメントゲームだ。昼に獲った魚をどのメニューに変換するかを決め、スタッフを配置し、客の注文を捌いていく。テーブルのドリンクを補充し忘れると評価が下がり、人気メニューを切らすと客が怒って帰る。この繁忙感はDiner Dashシリーズに通じる部分もあるが、デイヴの場合は食材の種類や希少性がそのままメニューの質に直結するため、「今日はいいマグロが獲れたから大トロを出せる」という達成感がより有機的だ。売上が伸びると内装を改装したり、新スタッフを雇ったり、特別メニューを開発したりと経営の自由度が広がっていく。
ビジュアルは2Dドット絵と高解像度イラストを組み合わせたスタイルで、海中の光と影の表現が美しい。魚の種類ごとに泳ぎ方が異なり、珊瑚礁の揺れや水流のエフェクトが水中にいる感覚を高める。カットシーンでは劇画調の演出が突然挟まれることがあり、真剣なシーンとコメディが同居する独特のテイストが生まれている。サウンドトラックは海の開放感を表すアンビエント系から、寿司屋の賑わいを演出するジャズ調まで幅広く、場面転換のたびに気持ちが切り替わる設計になっている。
ストーリーは、太っちょダイバーのデイヴがひょんなことからブルーホールの調査と寿司屋経営に巻き込まれるところから始まる。個性的な仲間が次々と合流し、彼らのバックストーリーやブルーホールの正体をめぐる謎が章を追うごとに深まっていく。ネタバレは避けるが、序盤で「変わった海洋冒険もの」と思っていたプレイヤーが中盤以降で予想外の展開に驚かされる構造になっており、「次の章が気になる」という牽引力が最後まで途切れない。
似たゲームを挙げるなら、潜水アクションのループ感はSubnauticaに近く、レストラン経営のリズムはOvenbreakやCookieRunではなくPlate Upのような真剣な経営判断を求めるものに近い。ただしデイヴはどちらのジャンルも「やり込みゲーム」の域には踏み込まず、ほどよく整理されたカジュアル寄りのバランスに着地している。Stardew Valleyに通じるポイントもあって、毎日のルーティンをこなしながら少しずつ成長する充実感が積み重なる設計だ。ただしStardew Valleyほど農業管理が細かくなく、デイヴの方が一回のセッションが短く済む。
プレイ時間の目安は、メインストーリーを一通り追うだけなら20〜25時間ほど。サブクエストや魚図鑑の収集、スタッフの育成、隠し要素まで手を出すと40時間以上になる。クリア後にはいくつかのやり込みコンテンツが解放されるが、大規模なエンドゲームループがあるタイプではなく、コンテンツはほぼ一本道に近い。繰り返しプレイよりも、一度の旅を丁寧に遊び切る構造だと思っておくと期待値がズレない。
注意点として、ゲームの後半に向けて「ダイビング」「経営」以外の要素が増えていく。リズムゲーム的なミニゲーム、農業、ファーミング要素など、様々なサブシステムが挿入されるため、「余計なことをせずダイビングと寿司屋に集中したい」というプレイヤーには少し散漫に感じる場面もある。また毎ダイブ必ずレストランを営業しなければならない義務感は薄いものの、最初の数時間は「次に何をすべきか」の優先順位がわかりにくく、自由度に戸惑う人もいるかもしれない。
こういう人には特に強くおすすめしたい。農業・経営シミュレーション系が好きだがスローペースに少し飽きてきた人、アクションが苦手でも海の世界を探検したい人、一日30分〜1時間という短いセッションで少しずつ進めたい社会人プレイヤー、そして「変わったゲームを遊んでみたい」という人。¥1,320という価格は控えめで、セール時にはさらに安くなることを考えると、コストパフォーマンスは非常に高い。逆に、骨太なサバイバルや本格的なレストラン経営シミュレーターを求めるなら物足りなく感じる可能性がある。ジャンルの深さよりも、ユニークなコンセプトとほどよい気軽さで遊べることがこのゲームの価値であり、それに共感できるかどうかが合う合わないの分かれ目になる。
スクリーンショット











