Shot Up!

Shot Up!

開発: Jacob Arthur Cockrill発売: Jacob A. Productions¥310
アクションアドベンチャーカジュアルインディー

PlayNext レビュー

310円という価格を見た瞬間、「まあ暇つぶし程度に」と軽い気持ちで起動したゲームが、気づけば1時間以上自分を画面に張り付かせている——そういう体験が、Shot Up! にはある。派手な演出も高解像度のグラフィックもない。あるのは「Boinks と呼ばれる謎の侵略者を撃ち払い続ける」というシンプルな使命だけだ。しかしそのシンプルさこそが、このゲームの最大の武器になっている。 ゲームの核心を一言で表すなら「移動しながら撃ち続けるプラットフォーマー」だ。プレイヤーはミスター・ジョリーズとして、Jabco ワールドを侵略する Boinks を排除していく。泳ぎ、飛び、スウィングしながら敵を撃つという動きのバリエーションが、単調になりがちなシューター体験に立体感を与えている。地面を走りながら撃つだけではなく、水中では慣性の効いた独特の操作感に対応しつつ照準を合わせ、空中ではスウィングの弧に合わせてタイミングよくトリガーを引く。それぞれのフィールドで求められる身体感覚が微妙に異なるため、慣れるまでは少し手こずるが、それが逆に「うまくなっている実感」を生み出してくれる。 操作のテンポはきびきびしており、もたつきを感じるシーンはほとんどない。敵が出現してから撃ち落とすまでの一連の流れがスムーズで、「気持ちよく動かせる」という基本的な手触りはしっかり押さえられている。ただし、慣性やジャンプの挙動にクセがあるため、最初の数分は「思った通りに動かない」と感じるかもしれない。これは欠点というより個性であり、慣れると自分なりの動き方が確立されてくるタイプのゲームだ。Boinks をどれだけ多く撃ち落とせるかというスコアアタック的な側面もあり、「もう一度やればもっとうまくできる」という引力が生まれやすい。 ビジュアルはインディーゲームらしい素朴なスタイルで、リアリズムとは対極の位置にある。Jabco ワールドは独自の色彩感覚で描かれており、どこか懐かしいフラッシュゲーム時代のアニメーションを思わせる雰囲気がある。Boinks のデザインも統一感があり、侵略者としての「わかりやすい異物感」が演出されている。サウンドは派手さよりも機能性を重視した作りで、効果音の気持ちよさが射撃のフィードバックをしっかり支えている。BGM は繰り返し聴いても疲れない軽快なループ系で、長時間プレイ時のBGMストレスが低い点は地味に評価できる。 世界観については、公式説明にある「Jabco the star nation watching the good, hard and the bad」というフレーズが示すように、善悪を見守る星の国家と、その世界を守る一人の男という構図がある。深いストーリーが展開されるタイプではなく、あくまで設定の味付けとして機能している。「ノー・ウォーリーズ、ミスター・ジョリーズ」というフレーズに漂うユーモアとゆるさが、このゲーム全体のトーンを象徴している。深刻な世界観を求めるプレイヤーには物足りないが、気軽に入り込める軽さとして機能している。 似たゲームを挙げるなら、Super Meat Boy のようなシビアなプラットフォーマーよりも、Cuphead の初期ステージのような「動きながら敵を避けて撃つ」感覚に近い。ただし難易度設計は Cuphead ほど苛烈ではなく、カジュアルよりの調整がされている。また、N++ のようなフィジカルゲームとも近い部分があるが、あちらの禅的な集中体験よりはポップで賑やかな方向性だ。310円という価格帯を考えると、同価格帯のタイムキラー系アーケードゲームの中では完成度が高い部類に入る。 プレイ時間の目安としては、1周クリアだけであれば1〜2時間程度に収まると思われる。スコアアタックや高難易度への挑戦を視野に入れると、それ以上の時間を費やすことも可能だ。ただしエンドコンテンツや周回要素が充実しているわけではなく、あくまでスコアや自己ベストを更新する楽しみが継続のモチベーションになる。Steam のアチーブメントや実績がやり込みの指針になっている点は、短時間ゲームとしての密度を高めている。 注意点として正直に言うと、ボリューム面では価格相応という感覚が正直なところだ。数時間で一通り体験し終わる可能性が高く、大型タイトルのような「もう20時間遊べる」という感覚は期待しないほうがいい。また、操作の独特なクセに最後まで馴染めないプレイヤーには、ストレスになる可能性もある。個人開発ゆえのポリッシュ不足を感じる部分もゼロではないが、310円という価格と照らし合わせれば許容範囲内だ。 こういう人には強くおすすめできる。短時間でパッとプレイして気分転換したい人、インディーゲームの荒削りな面白さを安価で体験したい人、プラットフォーマーのフィジカル的な挑戦を楽しめる人。逆に、長時間の没入体験やしっかりとした物語を求めている人、操作の精度にこだわりが強い人、価格以上のボリュームを期待している人には合わないかもしれない。ワンコインのゲームに何を求めるか——それがこのゲームを楽しめるかどうかの分かれ目だ。
Steam ストアで見る →

スクリーンショット

Shot Up! screenshot 1Shot Up! screenshot 2Shot Up! screenshot 3Shot Up! screenshot 4Shot Up! screenshot 5Shot Up! screenshot 6

似ているゲーム