
ARMORED CORE™ VI FIRES OF RUBICON™
開発: FromSoftware, Inc.発売: FromSoftware, Inc.¥8,690
アクション
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
メカを「着る」のではなく、メカに「なる」感覚——それが『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』の核心だ。プレイヤーは単にロボットを操作するのではなく、四肢のように機体を扱い、推力と重量と慣性を全身で感じながら戦場を駆け抜ける。FromSoftwareがダークソウルシリーズで培った「死んで覚える」設計思想は健在だが、今作はそこに「自分だけのメカで挑む」という要素が重なり、クリアしたときの達成感はシリーズ最高水準に達している。
操作の手触りは、一言で言えば「軽快かつ重厚」だ。ブースターを吹かして空中を縦横無尽に移動しながら、両手と両肩の計4つの武器を使い分ける戦闘は、最初の数時間は情報量の多さに圧倒される。しかしパーツの意味を理解し始めると、空中からの急降下攻撃、盾で弾きながらの近接コンボ、スタッガー(よろけ)を狙った連携攻撃といった戦術が自然と身についてくる。この「わかった瞬間」が何度も訪れるゲームで、ボスを初見で苦戦しながらも十数回の試行錯誤の末に倒したときの感覚は、他のアクションゲームでなかなか味わえないものだ。
アセンブル(機体カスタマイズ)は本作の最大の魅力であり、やり込みの核心でもある。フレーム、腕部、脚部、ジェネレーター、ブースター、FCSなど数十種類のパーツを組み合わせ、自分の戦闘スタイルに合った機体を作る。四脚型で空中に居座りながらミサイルを降らせるビルドも、軽量2脚でブレードを振り回す近接特化ビルドも、タンク脚に重装甲を積んだ重砲撃型も、すべてが有効な選択肢として機能する。ボスで詰まったとき、攻略法を変えるのではなく「機体を変える」という選択肢があることで、挫折感よりも試行錯誤の楽しさが勝る設計になっている。
ビジュアルは、無機質な廃墟と暴力的に輝くエネルギー体のコントラストが印象的だ。ルビコン3という惑星の荒涼とした工業地帯、巨大企業の構造物が乱立する戦場、コーラルと呼ばれる発光物質が溢れる幻想的な地帯——それぞれのステージに独自の空気感があり、戦場に降り立つたびに世界の深みを感じる。機体に自分でペイントとデカールを施せるため、戦場に自分のACが映えたときの満足感は格別だ。サウンドは武器種によって大きく異なり、軽快なアサルトライフルの連射音から、近接ブレードの重い衝撃音まで、戦闘の手触りを音で補強している。ボス戦のBGMは緊張感を高める攻撃的なトラックが多く、長時間の戦闘でも気持ちが途切れない。
世界観は「謎を与え、プレイヤーに解釈させる」FromSofture流の語り口で展開する。惑星ルビコン3で発見された未知のエネルギー物質「コーラル」をめぐり、複数の企業・勢力・傭兵が入り乱れる構図は一見複雑だが、ミッション中に挟まれる通信や、断片的に語られる背景情報を拾い集めると、徐々に全体像が見えてくる。主人公の傭兵「C4-621」が無言のまま依頼をこなしていく中で、プレイヤー自身が「誰の側につくべきか」を問われる瞬間が訪れる。ネタバレは避けるが、本作には複数のエンディングが存在し、それぞれに異なるストーリーの解釈が可能だ。
他のメカアクションと比較すると、『ゾイドワイルド インフィニティブラスト』や『ガンダム バトルオペレーション2』のような作品がファン向けの「乗り物ゲーム」的な感触であるのに対し、本作は「ハードコアアクション」の文脈にある。近いのはむしろ『Sekiro: Shadows Die Twice』で、敵の行動を読んでスタッガーを取るリズムゲーム的な側面が強い。ただしSekiroと違い、ビルドの多様性によって同じ局面でも多彩な攻略ルートが存在する点が差別化要素だ。
プレイ時間はメインストーリーを1周するだけなら20〜30時間程度だが、本作の真価は周回プレイにある。2周目以降に解放されるミッションや分岐、そして全エンディング回収まで含めると50〜70時間は優に超える。さらにランキングやSランク取得、オンラインPvPにまで手を伸ばせば、プレイ時間は青天井だ。
注意すべき点も正直に述べておく。ミッション序盤の難易度が急に跳ね上がる箇所があり、「壁ボス」と呼ばれる強敵が何体か存在する。死んで試して覚えるというサイクルを楽しめない人には、率直に言って向かない作品だ。またストーリーは断片的な情報をつなぐスタイルのため、明確なドラマや感情移入できるキャラクターを求める人には物足りなく感じるかもしれない。
こういう人には強くおすすめしたい——「ダークソウルは好きだがメカも好き」「他のメカゲームをやり尽くした」「カスタマイズと最適化に無限に時間を使える」「高い壁を越えたときの達成感がゲームに求めるもの」。逆に、ストーリー重視でフルボイスドラマを期待する人、難しいアクションを避けたい人、チュートリアルで手取り足取り教えてほしい人には合わないだろう。
ルビコン3の空を自分だけのACで切り裂く体験は、他のどのゲームでも代替できない。¥8,690という価格は、このボリュームと完成度を考えれば十分に価値がある。
スクリーンショット











