Sekiro™: Shadows Die Twice - GOTY Edition

Sekiro™: Shadows Die Twice - GOTY Edition

開発: FromSoftware, Inc.発売: Activision (Excluding Japan and Asia)¥4,180
アクションアドベンチャー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

死ぬことは、このゲームにおいて敗北ではない。それはむしろ、攻略への手がかりだ。「Sekiro: Shadows Die Twice」は、プレイヤーに何度も殺されることを前提として設計されている。しかし、その死の一つひとつが情報であり、学習であり、次の挑戦への燃料になる。この構造こそが、本作を単なる「難しいゲーム」ではなく、「克服の快楽を極限まで研ぎ澄ませた体験」に変えている。 FromSoftwareはダークソウルシリーズで「死んで覚える」スタイルを確立したが、Sekiroはそれをさらに一段階進化させた。ソウルシリーズでは強化した武器を持ち込んだり、ローリングで攻撃を回避したりと、プレイヤー側の「数値的な成長」や「安全策」で壁を乗り越える余地があった。Sekiroにはそれがほぼない。レベルアップで素のステータスを底上げすることはできないし、盾でガードして安全地帯を確保するという発想も通用しない。敵の攻撃を見て、聞いて、弾いて、崩す。この「体幹ゲージ」システムが本作の核心だ。 体幹ゲージとは、連続して攻撃を受けたり弾かれたりすることで蓄積するゲージで、満タンになると体勢を崩され、致命の一撃を受ける状態になる。これは自分にも敵にも適用される。つまり、守りに徹して受け流し続けながら隙をついて攻撃を積み重ねることで、HPがほとんど削れていない敵でも体勢を崩して倒せる。逆に言えば、どれほど強靭なボスでも、攻撃のリズムを把握して弾き続ければ必ず崩れる瞬間が来る。この設計が、「俺はちゃんとやれている」という手応えをリアルタイムで与えてくれる。 操作の手触りは極めてシャープだ。忍び走りから壁走り、鉤縄を使った立体的な移動、そして鋭利な刀での攻防。一連のアクションに無駄がなく、ダークソウルのような「重さ」はほとんど感じない。隻狼というキャラクターが本当に「忍者」として動いている感覚があり、縦方向の機動力を使って戦場を三次元的に駆け回れる。ジャンプが実装されていること一つとっても、同社の過去作とは異なるダイナミズムがある。プレイ中に「気持ちよく動けている」と感じる瞬間が多く、アクションゲームとしての純粋な操作快楽が高い。 ビジュアルは戦国時代の日本を舞台にしており、荒廃した城郭、深山の社、血と炎に彩られた戦場が美しく描かれている。陰影の使い方が巧みで、薄暗い社の内部や霧に沈む谷間など、日本の美意識と怪異的な雰囲気が融合している。音楽は和楽器を基調とした楽曲で、特にボス戦のBGMは緊張感と高揚感をうまく煽る。剣戟の音も鋭く、弾きが成功したときの金属音には独特の爽快感があり、耳でも戦況を把握できる設計になっている。 世界観とストーリーについては、主人公の忍び「隻狼」が主君を守るために戦う、というシンプルな軸がある。しかしその背後には不死、竜胤の血、神話的な存在を巡る複雑な物語が広がっており、フレーバーテキストやNPCとの会話から少しずつ真相に近づいていく体験はダークソウルファンにも馴染みやすい。ネタバレは避けるが、エンディングが複数あり、選択の意味が重くのしかかってくる構造は、クリア後も長く記憶に残る。 比較対象としてよく挙がるのはElden RingやDark Souls IIIだが、それらとの決定的な違いは「ビルドの多様性がない」という点だ。魔法使いで遠距離攻撃、盾戦士でガード固め、といった戦略の幅はなく、全員が同じ刀を持った忍者として戦う。代わりに義手忍具による多彩な補助手段(火吹き筒、手裏剣、斧など)が用意されており、状況に応じた小道具の使い分けが重要になる。Ghost of Tsushimaと比較されることもあるが、あちらが「爽快感を優先したサムライ映画体験」だとすれば、Sekiroは「実力差を埋めるための演技禁止の真剣勝負」に近い。 プレイ時間はメインルートだけで30〜40時間程度が目安だが、難ボスに詰まると50時間を超えることも珍しくない。周回プレイでは敵が強化されるNG+が用意されており、二周目以降は敵の行動パターンを完全に把握した上での高速クリアに挑める。トロフィーコンプリートには複数エンディングの回収が必要なため、少なくとも2〜3周は楽しめる設計だ。 注意点として、本作は攻撃の「弾き」に相当の習熟が必要で、タイミングシビアな操作を繰り返し要求される。ボスによっては数時間詰まり続けることもあり、フラストレーションが蓄積しやすい。また前述のように育成の自由度が低いため、「詰まったらビルドを変えて乗り越える」という逃げ道がない。特定の忍具や体術で有効な攻略法が存在するが、それを見つけるためには試行錯誤を重ねる忍耐が求められる。難易度設定は存在せず、難しさを自分で調整できないことも覚えておきたい。 アクションゲームが好きで、リズムゲームのように敵の攻撃パターンを覚えて対応することに喜びを感じる人、あるいはダークソウルをプレイしてビルドより純粋な反射神経と読みで勝負したいと感じた人には、これ以上ないほどにはまるはずだ。反対に、マルチプレイや協力プレイを求める人、試行錯誤の反復よりも物語進行の快感を重視する人、アクションゲームに自信がない人には向かないと正直に伝えておく。 それでも、あの「弾きが噛み合い、強敵の体幹が崩れた瞬間」の感触は、他のゲームではなかなか味わえない。何度死んでも、それが悔しさより「わかってきた」という感触に変わり始めたとき、このゲームの本当の楽しさが始まる。
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スクリーンショット

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