
モンスターハンターライズ
MONSTER HUNTER RISE
開発: CAPCOM Co., Ltd.発売: CAPCOM Co., Ltd.¥3,990
アクション
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
モンスターハンターというシリーズは「大型モンスターを狩る」という一点に全てが集約されている。だがライズが他のシリーズ作と一線を画すのは、その「狩る」という行為の物理的な気持ちよさを根本から作り直した点にある。翔蟲(かけりむし)と呼ばれるシルクのような糸を射出する生き物を使って、ハンターが空中を舞い、壁を駆け上がり、モンスターに飛びかかる。このシステムが一度染み込んでしまうと、もう以前の作品には戻れなくなる。地面にいる時間が惜しくなる、そういうゲームだ。
戦闘の手触りから話そう。翔蟲アクション——これが武器ごとに用意されており、大剣なら空中から超威力の斬り下ろし、双剣なら連続の空中乱舞と、それぞれの武器のアイデンティティをさらに尖らせる形で実装されている。操作の複雑さは相変わらずだが、ライズは「移動」と「攻撃」の境界を意図的に曖昧にした。壁走りから直接攻撃へ繋ぐ、モンスターの背中に乗りながら殴り続ける——動くことが即攻撃になる設計は、ゲームパッドを握っている指先に「上手くなっている」という実感を絶えず与えてくれる。テンポも速く、1クエスト20〜30分が標準だが、ダレを感じさせない密度がある。
やり込み要素については、ハンターランクと呼ばれる上位難易度が解放されるたびに素材の質とモンスターの行動パターンが変化し、同じ相手と何十回戦っても「今日こそ完璧な立ち回りをする」という動機が尽きない。装備の組み合わせによってスキル構成が変わり、「攻撃力を極限まで上げてゴリ押しする型」から「回避性能に特化して無敵時間を稼ぐ型」まで、プレイスタイルを後から大幅に変更できる自由度がある。14種類ある武器種は互いに全く異なる操作体系を持っているため、飽きたら別の武器に乗り換えれば実質的に別のゲームとして遊べる。
ビジュアルは和の様式美を前面に打ち出している。カムラの里と呼ばれる拠点は日本の山岳集落をベースにしながら、どこかファンタジーの香りを纏わせた独特の世界観で構築されており、画面を眺めているだけで旅情を感じる。フィールドも「水没林」「寒冷群島」など、それぞれ異なる生態系を持ち、光の当たり方や霧の表現が現地の空気感を的確に再現している。サウンドも秀逸で、和楽器と現代的なオーケストラを融合させたBGMがモンスターとの対峙を一種の「儀式」のように演出する。特にラスボス戦の楽曲は、そのモンスターの性質と完璧に噛み合っており、音楽単体で聴いても完成度が高い。
世界観について、カムラの里を取り巻く謎の現象「百竜夜行」が物語の背骨をなしている。大量のモンスターが里へ向けて押し寄せるこの異変の原因を、ハンターとして調査しながら明かしていく構成だ。ゲームとしての主目的はあくまで狩猟なので、ストーリーの密度はアクションRPGほど濃くはない。だが登場人物たちのセリフや里の人々との会話の端々に、この世界の深みが滲んでいる。ネコ族・イヌ族のキャラクターが単なる補助要員ではなく、感情移入できるキャラクターとして描かれているのもライズの特徴で、クエスト中も共に戦う彼らの存在がソロプレイの孤独感を和らげてくれる。
似たジャンルのゲームとの比較で言えば、前作「モンスターハンターワールド」との違いが一番気になる人が多いだろう。ワールドはよりシームレスでリアリスティックな世界設計を目指したのに対して、ライズは「快適さ」と「テンポ」を優先した。ワールドのフィールドは巨大で探索要素が強かったが、ライズのフィールドはコンパクトに整理されており、モンスターを探し回る時間よりも戦闘に集中できる設計だ。どちらが優れているかではなく、ライズは「狩猟そのもの」を純化した作品だと言える。「God of War」や「Ghost of Tsushima」のような単体の物語体験を求めるプレイヤーには物足りなさを感じさせるかもしれないが、「アクションゲームとしての手触りと反復の充実」で言えばライズは現行の作品の中でも際立っている。
プレイ時間については、メインストーリークリアまでで30〜40時間、そこから上位クエストとエンドコンテンツを含めると軽く100時間を超える。さらに拡張コンテンツ「サンブレイク」を加えると追加で150時間以上のコンテンツが待ち受けており、「一本のゲームで元を取りたい」という層には破格のコストパフォーマンスだ。エンドコンテンツでは傀異化(かいいか)と呼ばれる強化状態のモンスターが登場し、装備の最適化や戦術の精緻化が際限なく続く。「最強装備を作ること」が目的になるタイプのやり込みが好きなプレイヤーには、終わりのない沼が用意されている。
注意すべき点として、翔蟲アクションは快適な反面、序盤のモンスターに対して有効すぎる。難易度の入り口が低く設定されているため、アクションゲームに慣れたプレイヤーには最初の10時間程度が物足りなく感じられることがある。また武器選びに迷いやすく、14種類それぞれに固有の操作があるため、最初に合わない武器を選んでしまうと「ゲームの何が楽しいのか」が掴めないまま離脱するリスクがある。チュートリアルはそれなりに丁寧だが、全武器を試し切るまでの忍耐を要求する点は人を選ぶ。
こういう人には強くおすすめする。繰り返しの狩猟を通じて装備と腕前を積み上げることに快感を覚えるタイプ、アクションゲームは好きだが骨太な難易度よりも「華麗に動ける爽快感」を重視する人、友人と2〜4人でオンライン協力プレイをしたいチームには特に最適だ。逆に、一本道の濃いストーリーとキャラクター成長を中心に楽しみたい人、反復作業に強い嫌悪感がある人、アクションゲームにほとんど触れたことがない初心者にとっては学習コストが高く感じられるかもしれない。ただし、最初の壁を越えた先の没入感は、それだけの対価に値する。
スクリーンショット











