
ELDEN RING
開発: FromSoftware, Inc.発売: FromSoftware, Inc.¥6,006
アクションRPG
Steam レビュー
圧倒的に好評
PlayNext レビュー
「死んだら終わり」ではなく、「死んでも続けられる」——エルデンリングはそういうゲームだ。理不尽な難易度でプレイヤーを突き放すように見えて、その実、何度倒れても立ち上がらせる引力がある。初めてフィールドボスに返り討ちにされたとき、怒りよりも先に「もう一度だけ」という気持ちが湧いてくる。この感覚こそが、本作の核心にある。
広大なオープンワールド「狭間の地」に放り込まれた瞬間から、プレイヤーはこの世界が誰も優しく説明してくれないことを知る。目的地を指し示す矢印はなく、チュートリアルも必要最低限。草原の向こうに見える朽ちた建物、遠くにそびえる黄金樹——何かがある、行けばわかる、という確信だけを頼りに足を踏み出す。そしてその直感はほぼ必ず正しく、探索の先には必ず発見がある。この「期待を裏切らない世界設計」が、エルデンリングを単なる難しいゲームではなく、冒険そのものにしている。
戦闘の手触りは、FromSoftwareが長年磨いてきたソウルシリーズの集大成といえる。攻撃・回避・ガードの三択を軸に、スタミナ管理と敵の動きの読み合いが展開される。ボタンを連打すれば死ぬ。強攻撃のタイミングを覚え、大振りな攻撃後の隙を突くことを覚え、ようやく「分かった」と思ったら新しい行動パターンで崩される。この繰り返しが不快ではなく、むしろ楽しい——それは戦闘システムが「理解すれば必ず対応できる」よう設計されているからだ。理不尽に見えて、実は公平。この設計の誠実さが信頼感につながる。
武器種の豊富さと「戦灰」によるカスタマイズも本作の大きな魅力だ。大剣一本で押し通すゴリゴリの近接戦士も、魔法を主軸にした魔法使いも、弓矢と状態異常を駆使するトリッキーなビルドも、どれも十分に機能するよう調整されている。自分だけのビルドを模索する楽しさは、100時間遊んでも尽きない。
ビジュアルは「朽ちた美しさ」という言葉がぴったりだ。かつて栄えた文明の残骸、腐敗した湿地、夜空を照らす黄金樹の光——廃墟と荘厳さが同居する独特の美学が貫かれている。特に夜のフィールドに降り立ったとき、遠くに見えるボスや巨大な敵の存在感は圧倒的で、「この世界に立っている」という没入感を強烈に作り出す。BGMは控えめに使われ、静寂がほとんどの時間を占める。だからこそ、ボス戦で流れ始める重厚なオーケストラが感情を揺さぶる。
世界観はGeorge R.R. Martinが神話・伝承を共同制作したことで、ソウルシリーズ従来の難解さに「叙事詩的なスケール」が加わった。語られる物語は断片的で、アイテムの説明文や環境から推測するスタイルは健在だが、登場人物たちの思惑や因縁が交錯する「群像劇」としての読み応えは前作以上。ネタバレを避けつつ言うなら、この世界に何が起きたのかを解明していく過程自体がエンターテインメントになっている。
ダークソウルシリーズと比較すると、最大の違いは「救済措置の多さ」だ。詰まったら別のエリアへ行き、レベルを上げて戻ってくることができる。ボスが強すぎると感じれば、フィールドを探索して戦力を整える余裕がある。同じFromSoftware作品でも、SEKIRO: Shadows Die Twiceが「攻略ルートがほぼ一本道で建て直しが難しい」のに対し、エルデンリングは「寄り道がそのまま成長につながる」設計になっている。初めてフロム作品に触れるなら、エルデンリングが最も入りやすい一本だろう。
プレイ時間の目安は、メインのみのクリアで60〜80時間、全エリア探索で100〜150時間、DLC「Shadow of the Erdtree」を含めるとさらに伸びる。周回プレイでは敵の強さが引き上げられ、取り逃したビルドを試す楽しさがある。トロフィー・実績コンプリートは複数周回が必要なため、やり込みたいプレイヤーには長く遊べる設計になっている。
注意点として正直に書いておきたい。本作は「詰まる」ゲームだ。特に中盤以降のボスはかなりの強敵で、数十回死ぬことは珍しくない。死亡時に所持ルーン(経験値兼通貨)を落とし、取りに戻らなければ失うシステムは序盤の精神的障壁になりやすい。また、オープンワールドの自由度の高さゆえ、「どこへ行けばいいか分からない」迷子状態に陥ることもある。クリア後も謎が多く残るストーリーの断片的な語り口は、分かりやすい物語を求める人には向かない。
こういう人に強くおすすめしたい。挑戦を乗り越えた達成感が好きな人、探索の喜びを大切にするオープンワールド好き、ダークで重厚なファンタジーの世界観に惹かれる人。そして、かつてソウルシリーズを「難しすぎる」と感じて諦めた人にも、ぜひもう一度試してほしい。本作はシリーズ最高の間口の広さを持っている。
逆に、ストーリーを丁寧に追いたい人、ストレスのない快適なゲーム体験を求める人、時間がなく短時間でクリアしたい人には合わないかもしれない。エルデンリングは時間と根気を要求する。それに見合うだけのものを返してくれるかどうかは、プレイヤー自身が判断するしかない。ただ言えるのは、このゲームが与えてくれる「あの瞬間」——長時間苦しめられたボスを倒した瞬間の解放感——は、他のゲームではなかなか味わえない種類の喜びだということだ。
スクリーンショット











