
Dragon's Dogma 2
開発: CAPCOM Co., Ltd.発売: CAPCOM Co., Ltd.¥8,990
アクションRPG
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
旅立ちの瞬間から、このゲームはあなたに問いかけてくる。どんな姿で、どんな力を持って、この世界に存在するのか。キャラクタークリエイトの自由度は異常なほど高く、骨格から瞳の濁りまで作り込める。だが本当の意味での「キャラクター」は、冒険が積み重なるにつれ、プレイヤー自身の選択と失敗の中から生まれてくる。ドラゴンズドグマ2の核心は、そこにある。「俺はこの世界で何者なのか」という問いへの答えを、ゲームが勝手に押しつけるのではなく、プレイヤー自身が体で発見していく体験だ。
戦闘の手触りは、一言でいえば「重量感のあるリアクション」だ。敵に斬りつければ肉が裂ける感触がコントローラ越しに伝わり、大型モンスターに組み付けばその動きに引っ張られて体勢が崩れる。グリフィンの翼に掴まって空中に引き上げられた瞬間、焦りと興奮が混ざり合う。エルダードラゴンに四苦八苦しながら登り、弱点に剣を刺し込む——この一連の体験は、アクションゲームとして純粋に気持ちいい。前作から引き継がれたボキャブラーで言うなら「テンション管理型」の戦闘で、回避を連打すれば切り抜けられるようなシステムではなく、敵の動きを読んでスタミナを温存しながら攻撃機会を掴む判断力が試される。
職業(ヴォケーション)システムの深みも見逃せない。剣と盾で正面から戦うファイター、遠距離と近距離を切り替えるアーチャー、炎と雷を操るソーサラー、そして攻守を融合させた上位職まで、それぞれの操作感は別ゲーと言っていいほど異なる。ソーサラーで詠唱中にモンスターに割り込まれた時の絶望感と、ギリギリで大魔法が炸裂した時の快感は、他のクラスでは味わえない固有の体験だ。やり込み要素としてはスキルカスタマイズによるビルド研究があり、複数職の経験値を蓄積することで徐々に強くなる育成ループが機能している。
ポーンというシステムが、このゲームのもう一つの柱だ。プレイヤーは一人の「メインポーン」を作成・育成し、オンライン経由で他プレイヤーのセカイに送り出す。逆に他プレイヤーのポーンをパーティに迎え入れることもできる。シングルプレイなのに「誰かが育てたキャラクターと冒険している」という不思議な共同感覚がある。熟練したポーンは「あそこに宝箱があります」「この敵には火が効きます」と的確な情報を教えてくれ、旅慣れた頼もしさを演出する。愛着が湧いたポーンを次の旅でも連れて行きたくなる——これが絶妙に機能している。
グラフィックはカプコンのREエンジンの最新成果だ。木漏れ日の差し込む森、霧に包まれた古城、夕暮れ時の港街——ロケーションごとの光の演出が美しく、フォトモードで撮影したくなる場面が多い。ただし処理負荷は高く、大型モンスターが複数登場する場面でのフレームレート低下は現時点でも完全には解消されていない。サウンドは重厚なオーケストラで、特にボス戦のBGMは戦闘の緊張感を盛り上げる。環境音の作り込みも丁寧で、雨が降り始める前の風の音、夜の虫の声が世界の密度を高めている。
世界観はオーソドックスなハイファンタジーだが、表面的な王道に騙されてはいけない。「覚者」という主人公の特殊な存在様式、ポーンたちの出自にまつわる謎、そしてドラゴンとの宿命的な因縁——物語は序盤こそ穏やかだが、徐々に「この世界の真実」が姿を現す。語り口は説明的ではなく、探索と観察によって世界の断片を拾い集めていく形式だ。NPCとの対話や環境のディテールに注意を払うほど、物語の解像度が上がっていく。
似たゲームとの比較で言えば、エルデンリングと混同されがちだが、設計思想はかなり異なる。エルデンリングがプレイヤーを苦しめることで達成感を作るのに対し、ドラゴンズドグマ2はポーンによる補助と職業の多様性によって、様々なプレイヤーが「自分なりの戦い方」を見つけられるよう設計されている。難易度は高いが理不尽ではなく、準備と理解によって突破できる感覚がある。モンスターハンターと比べると、ドラゴンズドグマは探索とナラティブの比重がはるかに大きい。オープンワールドRPGとしての「自由な旅」を楽しむ感覚は、スカイリムに近いかもしれない。
クリアまでのプレイ時間は、メインルートを追えば60〜80時間程度。サブクエストや探索を含めると100時間を軽く超える。エンドコンテンツは「真エンド」への道と、それ以降の高難度挑戦が用意されている。周回プレイはニューゲームプラスに相当する要素があり、引き継ぎ要素の選択が2周目の体験を大きく変える。
正直に言うべき注意点もある。序盤は移動がかなり遅く、ファストトラベルが限定的なため「歩かされている」感が強い時期がある。この設計は意図的なもので「旅の緊張感を維持する」哲学から来ているが、現代のオープンワールドゲームに慣れたプレイヤーには最初の壁になり得る。また先述のフレームレート問題と、一部クエストの案内不足による詰まりも現実だ。
こういう人に強くおすすめしたい——「戦闘の爽快感だけでなく、RPGとしての発見の面白さが欲しい」「ソロプレイなのに誰かと冒険している感覚を体験してみたい」「スカイリムやウィッチャー3を遊び尽くした、次の世界が欲しい」という人だ。逆に「ストレスなくサクサク進みたい」「マルチプレイで友人と盛り上がりたい」「明確なチュートリアルと丁寧な道案内が欲しい」という人には、合わない場面が多いかもしれない。
ドラゴンズドグマ2は、プレイヤーに「世界に存在すること」の面倒くささと豊かさを同時に味わわせるゲームだ。手を引いてくれるゲームではなく、自分で歩いた分だけ世界が深くなる。その重みを楽しめるなら、この旅はきっと忘れられないものになる。
スクリーンショット











