
残秽的我们第二章 Playtest
PlayNext レビュー
「残っているものたちの物語」とでも訳せるこのタイトルが持つ、静かな重さがすべてを語っている。「残秽的我们第二章 Playtest」は、中国インディーシーンから生まれたホラー色の強いナラティブアドベンチャーの第二章にあたる体験版だ。前章で提示された謎と人間関係の断片が、この第二章でさらに深く、より暗い方向へと展開していく。Playtestという形式でのリリースではあるが、その内容は粗削りな試作品の域を超えており、製品版への期待を強く抱かせる。
このゲームの核心にあるのは「記憶と汚染」というテーマだ。タイトルの「残秽」は単なる残滓や汚れを意味するだけでなく、人の心に刻まれた傷や罪悪感、消えることのない過去の穢れを指している。プレイヤーはその穢れを帯びた空間と人物たちの間を行き来しながら、何が起きたのか、誰が何を知っているのかを少しずつ解き明かしていく。ホラーゲームとしての恐怖演出はあるものの、それよりも人間の内面に潜む暗部を暴いていく心理的な重みのほうが前面に出ており、プレイ後に胸に残るものが大きい。
操作感はポイント&クリック型のアドベンチャーに近く、画面上の気になる箇所を調べたり、キャラクターと会話したりしながら物語を進める構造になっている。テンポはゆったりとしており、テキストを読み飛ばすことが前提とされていない。じっくり腰を据えてすべての会話テキストを読み、環境の細部に視線を向けることで初めてこの世界の深みが見えてくる。探索中に見つかる断片的な記録や、何気なく置かれたオブジェクトのひとつひとつが、物語の背景を積み上げていく重要なピースとして機能しているため、何も飛ばさずに進むことが強く推奨される。
ビジュアルは2Dイラストと実写素材を組み合わせたコラージュ的な表現を採用しており、独特の不安定感と美しさが共存している。中国インディー特有の、どこか歪んだリアリズムとでも呼ぶべき画風は、日本のホラーゲームともアメリカのインディーホラーとも一線を画す。キャラクターの表情は過剰に描写されすぎず、それでいて感情の機微を確かに伝えてくる。環境音楽はほぼアンビエント中心で、不穏な静けさを意図的に作り出している。効果音の使い方も控えめだが、ここぞという瞬間に挿入される音が心拍数を確実に上げる。BGMで気分を盛り上げるタイプのゲームではなく、沈黙を武器にするタイプだ。
世界観は現代中国の都市部を舞台にしており、マンションの一室、薄暗い廊下、古い公営施設のような空間が主な舞台となる。そこに住まう人々の関係性と秘密が物語の骨格を形成しており、ファンタジー的な要素は最小限に抑えられている。怪異は存在するが、それはあくまで人間関係の歪みが生み出した結果として描かれており、「なぜこうなったのか」という人間ドラマの解明がゲームの本質的な目的になっている。前章を未プレイでも理解できる親切設計ではあるが、前章を経験していると人物への感情移入がまったく異なるため、可能であれば順番にプレイすることを勧めたい。
比較対象として挙げるなら、「MISAO」や「青鬼」などの日本フリーホラーゲームよりも、「Disco Elysium」に近い文章密度と心理描写の重さを持っている。また「返校」(Detention)や「還願」(Devotion)が持つ台湾ホラー特有の文化的叙情性に通じるものを感じるが、こちらはより日常的な空間設定とテキストの積み重ねによって恐怖を構築する点で独自路線を歩んでいる。ジャンプスケアを多用するアクションホラーとは根本的に方向性が異なる。
プレイ時間はこの第二章Playtestで2〜3時間程度。すべての会話と探索をこなしても短めだが、Playtestという性質上これは製品版の一部分であることを念頭に置く必要がある。周回要素はほぼなく、選択肢による分岐も限定的だ。一度読んだテキストを素早くスキップする機能はあるため、もし選択肢を変えて試したい場合の2周目は効率よく進められる。
注意点をいくつか挙げておく。まず、中国語が基本言語であり、英語や日本語の翻訳品質はPlaytest段階では完全ではない場合がある。テキスト量が多いゲームであるため、言語の壁は体験に直結する。次に、ゲームプレイとしての刺激や達成感を重視するプレイヤーにとってはかなり地味な内容だ。謎解きの難易度もそれほど高くなく、詰まることはほぼない。最後に、テーマとして孤独、疎外、家族間の問題、精神的な健康などが扱われており、これらのトピックに敏感なプレイヤーは十分な心の準備をしてから臨んでほしい。
こういう人に強くおすすめしたい。読み物として小説や文学的なゲームを好む人、東アジアのホラー映画や文化的背景が滲み出るホラー表現に惹かれる人、アクション要素なしに純粋に物語と雰囲気で押しきるゲームを求めている人。逆に、派手な演出やプレイヤースキルを要求するゲームに慣れている人、ゲームに明確なカタルシスやスッキリとした解決を求める人には向かないかもしれない。このゲームは問いかけを残したまま終わる。その余韻を「続きが気になる」と感じられるかどうかが、合う合わないの分水嶺になるだろう。





