Neon White

Neon White

開発: Angel Matrix発売: Annapurna Interactive¥1,160
アクションアドベンチャーインディー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

天国に来たのに、やることはデーモンを倒してランキングを登り詰めることだった——そんな奇妙な前提がNeon Whiteのすべてを物語っている。このゲームの核心は「速さへの執着」だ。1ステージあたり平均30秒から2分程度の超短尺コースを、カード式のアビリティを駆使しながら文字通り飛び回り、0.1秒単位のタイムを削り続ける。クリアした瞬間にスコアが表示され、金メダルを超えた「エース」ランクを狙って即リトライする——この中毒的なループが延々と続く。 操作の基本はシンプルだ。走り、ジャンプし、壁を蹴り、敵を撃つ。だがNeon Whiteがユニークなのは、武器がカードとして表現されている点にある。拾ったカードは使い捨てで、銃として敵を倒すか、あるいはカードを「捨てる」ことで特殊なアビリティを発動するか、プレイヤーはその二択を常に迫られる。二連ジャンプカードを捨てれば崖の向こうへ跳び越えられる。ロケットランチャーカードを捨てれば空中でロケットに乗って遠くまで飛べる。この「撃つか、飛ぶか」というリソース管理が、コンパクトなコースに驚くほどの深みをもたらしている。 タイムアタックとしての手触りは、Mirror's Edgeとトレーディングカードゲームを掛け合わせたような感覚に近い。Mirror's Edgeが「体で覚えるパルクール」だとすれば、Neon Whiteは「頭で組み立てるルート最適化」に近い。何十周もすることで少しずつコースの構造が見えてきて、「ここでこのカードを温存すれば次の区間で跳べる」「このデーモンを踏み台にして壁を蹴れば0.5秒縮まる」という発見が積み重なっていく。初見では気づかなかった抜け道が後から明かされる「ヒント」システムも秀逸で、詰まっても自力突破の満足感を損なわない絶妙な塩梅に調整されている。 ビジュアルはアニメ調のイラストと3Dのコースが混在するハイブリッド形式だ。ステージ間のストーリーはビジュアルノベル形式で進み、アニメ風のキャラクターが会話する。この見た目がやや安っぽく映る人もいるかもしれないが、実際のゲームプレイ画面は高速移動に最適化されたクリーンなデザインで、視認性は高い。天国の白と金を基調とした世界に蛍光色のエフェクトが飛び散る映像は、疾走感と清潔感が両立している。 サウンドトラックは特筆に値する。com truiseやRichie Bransonといったアーティストが手がけた楽曲は、シンセウェイブとヒップホップをブレンドした独特のテイストで、ゲームの高速テンポと驚くほど噛み合っている。プレイ中に音楽のリズムに乗って体が動くような感覚は、FPSゲームとしては珍しい体験だ。 ストーリーについてはネタバレを避けるが、記憶を失った「ホワイト」という名の死者が天国で悪魔を狩る試験に参加する、という導入から予想外の方向に転がっていく。キャラクター同士の掛け合いはビジュアルノベル的な軽妙さがある一方、後半に向けて少しずつ複雑な感情が絡んでくる。ゲームプレイの殺伐としたタイムアタックと、ストーリーの人間ドラマが不思議な共存を見せている作品だ。天国という舞台を使いながら「なぜここに自分がいるのか」という問いが中心に据えられている点に、独自のセンスを感じる。 他のスピードランライクなゲームと比較するなら、SuperHOTとCupheadの間に位置する作品だと言えるかもしれない。SuperHOTほど思考的ではなく、Cupheadほど反射神経一辺倒でもない。より近いのはMy Friend Pedroのような「アクションをスタイリッシュに決める快感」だが、Neon Whiteはそこにタイムアタック要素を加えることで繰り返し遊ぶ動機を作り出している。Titanfall 2のキャンペーンが好きなプレイヤーなら、その疾走感と方向性の親和性にピンとくるはずだ。 プレイ時間はメインストーリーのクリアだけなら6〜8時間程度。ただし全ステージでエースランクを取り、隠しアイテムを回収し、サイドキャラクターのボーナスコースをクリアしようとすると20〜30時間以上は軽くかかる。タイムアタックには上限がないため、世界ランキングを狙うやり込み層には実質的に無限のコンテンツが存在する。ゲームパッドでも問題なく操作できるが、マウス+キーボードの精度が活きる場面も多い。 注意点として、このゲームは「タイムを縮めること」に価値を感じられない人には向かない。ストーリーだけを追うなら数時間で終わってしまい、単価的なコストパフォーマンスは低く感じる可能性がある。またビジュアルノベル部分が長めのテキストで進むため、英語のみの時期に触れた人から「テキスト量が多い」という声もあった(現在は日本語対応済み)。一部のコースは三次元的な把握が求められるため、3D酔いしやすい人も注意が必要だ。 こういう人に強くおすすめしたい。タイムアタックやスコアアタックに燃えるタイプ、Mirror's EdgeやTitanfall 2のキャンペーンを「もっとやりたい」と感じた人、短時間でも濃密な体験を求めている人、そして「うまくなっていく感覚」そのものが報酬になる人だ。逆に、ゆったりとした探索や重厚なRPG要素を求める人、タイムを削る行為に興味が湧かない人には合わないかもしれない。 ¥1,160という価格は、このジャンルへの入り口として考えれば破格に近い。天国を舞台にした高速ランナーは、コンパクトな外見に反して、プレイするほど奥が見えてくる作品だ。
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スクリーンショット

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