Ori and the Blind Forest: Definitive Edition

Ori and the Blind Forest: Definitive Edition

開発: Moon Studios GmbH発売: Xbox Game Studios¥522
アクション

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

森が死にかけている。光が消え、木々は朽ち、生命の源であった木の精霊ニブルは力を失っていく。その中に、小さく白い生き物が一匹いる。嵐の夜に親元を離れ、精霊の森に迷い込んだ孤児——オリ。彼がこの世界を救う旅に出るまでの数分間で、このゲームはすでにプレイヤーの胸を締め付けてくる。「Ori and the Blind Forest」は、アクションゲームとして優秀であると同時に、絵本のような情感を持つ作品だ。プレイを始めてすぐに気づく。これは単なるメトロイドヴァニアではない。 操作の気持ちよさは、このジャンルでも一線を画している。オリの動きは軽やかで、ジャンプに独特の浮遊感がある。地上での走り、壁蹴り、空中ダッシュ、バッシュ(敵や弾を蹴り台にして空中を飛び回るアクション)が組み合わさることで、慣れてくると森の中を風のように駆け抜けられるようになる。特にバッシュは習得当初こそ混乱するが、使いこなせるようになると移動と戦闘が一体化し、操作そのものが快楽になる。難しいプラットフォームパズルを一発でクリアできたときの達成感は格別で、Celeste や Hollow Knight と並んでインディーゲームの「操作の完成度」を語る際に外せない一作だ。 本作最大の仕掛けとして「ソウルリンク」がある。これはマップ上の任意の地点にチェックポイントを自分で設置できるシステムで、設置にはリソースが必要なため無制限ではない。死んだらやり直しになる場面で、どこにセーブポイントを置くかという判断が加わる。これが緊張感を生む。特に終盤の「脱出シーケンス」と呼ばれるステージでは、時間制限の中で複雑なルートを駆け抜けなければならず、ソウルリンクをどこに置くかで難易度が大きく変わる。詰まったときの苦しさは本物だが、クリアできたときの解放感も本物だ。 ビジュアルについては、もはや説明するより見てもらった方が早い——と言いたいところだが、文章で伝えるなら「動く水彩画」という表現が近い。背景は何層にも重なった手描き風のアートで奥行きを演出し、前景の植物や水が光を受けて揺れる様子は、まるで森の中に立っているような感覚を与える。キャラクターのアニメーションも滑らかで、オリが走ったり飛んだりするたびに白い尾を引くエフェクトが美しい。Definitive Edition では新エリアや追加アビリティが加わり、ボリュームとビジュアルの両面で強化されている。 音楽はGareth Cokerによる作曲で、弦楽器を中心としたオーケストラサウンドが感情を丁寧に補強する。静かな探索シーンでは囁くような旋律が流れ、戦闘や脱出では緊張感のある曲調に切り替わる。この音楽とビジュアルの連動が、ゲームプレイ中の感情的な没入感を高めている。サウンドトラックは単体でも聴く価値があり、プレイ後に改めて聴き直すと場面の記憶が鮮明に蘇る。 ストーリーはナレーションで語られるシンプルな構造だが、言葉よりも映像と音楽で感情を伝える演出が巧みだ。開始早々の切ないシークエンスは多くのプレイヤーの心に刻まれており、その後の旅全体に「取り戻す」という動機が通底する。難解な世界観考察が好きな人向けではなく、体験として感じるタイプのナラティブだ。 同ジャンルの作品と比べると、Hollow Knightがダークで広大な探索を重視するのに対し、本作は比較的コンパクトで物語の感情的な密度が高い。Celeste が「難しさを乗り越える喜び」を前面に出すなら、Ori は「世界の美しさの中で動く気持ちよさ」を優先している。Dead Cellsのようなローグライク要素はなく、構造はクラシックなメトロイドヴァニアに近い。初めてこのジャンルに触れる人にも入りやすい作品だ。 プレイ時間は初周で8〜12時間程度。実績コンプを目指すとマップ完全探索や隠し要素の収集が必要になり、20時間前後かかることもある。難易度は中盤以降で急上昇するが、ソウルリンクを賢く使えば理不尽さは感じにくい。ただし終盤の脱出シーケンスはアクションゲームに慣れていない人には相当厳しく、ここで詰まって挫折する人が少なくない点は正直に言っておく必要がある。 こういう人に強くすすめたい。美しい雰囲気のゲームが好きで、かつアクションの手触りにもこだわりたい人。Celeste や Hollow Knight を楽しんだが、もう少し感情に訴えかける作品が欲しい人。短くても密度の濃い体験を求めている人。逆に、広大なマップ探索や複雑な装備システムを楽しみたい人、長時間のボリュームを求める人には物足りないかもしれない。また、反射神経を要求する場面が多いため、アクションが苦手な人はフラストレーションを感じる可能性がある。 ¥522という価格でこれだけの体験が手に入るのは、率直に言って異常なコストパフォーマンスだ。セール時には数百円以下になることもある。感情とアクションが両立したゲームを探しているなら、このタイトルはリストの一番上に置いていい。
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スクリーンショット

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