
ドールズフロントライン2:エクシリウム
GIRLS' FRONTLINE 2: EXILIUM
開発: SUNBORN Information Co., Ltd.発売: HAOPLAY Limited無料
PlayNext レビュー
廃墟と霧に覆われた世界で、少女の姿をした戦術人形たちと肩を並べて戦う——ドールズフロントライン2:エクシリウムの核心体験を一言で表すなら、「緊張感ある戦術的判断」と「キャラクターへの感情移入」が絶妙に絡み合ったRPGだ。無料プレイのモバイルライクなタイトルと侮ると、その作り込まれたターン制戦術システムと重厚な世界観に面食らうことになる。
ゲームプレイの中心は、ヘックス(六角形)マスを使ったターン制タクティクスだ。最大6体の戦術人形(キャラクター)を編成し、敵の侵攻ルートを読みながら有利地形を確保し、スキルの連携タイミングを計る。1ターンごとに「移動」「スキル使用」「攻撃」の行動ポイントをどう使うかという意思決定が求められ、ステージによっては敵の増援タイミングや環境ギミック(遮蔽物の利用、汚染エリアのダメージゾーンなど)も考慮に入れる必要がある。難易度は中盤から急勾配を描き始め、「とりあえず強いキャラを突っ込めばいい」という脳死プレイを許してくれない。それでいてUIは洗練されており、ターン送りやスキル確認のテンポは快適で、ストレスなく試行錯誤を繰り返せる。
戦闘後のリザルトや育成画面でキャラクターの装備や強化を行うシステムも充実している。武器・外装・メモリーチップなど複数の強化レイヤーがあり、単純なレベル上げに留まらない。スペックを詰めていくほど攻略の選択肢が広がる感覚があり、いわゆる「育て甲斐」のあるゲームだ。ただし、ガチャで排出されるキャラクターの性能差は存在するため、コレクション欲と戦略欲が同時に刺激される構造になっている。
ビジュアル面は、PCタイトルとして十分に水準の高い出来だ。キャラクターデザインは前作「ドールズフロントライン」の遺伝子を引き継ぎつつ、よりモダンなアニメ調へとアップデートされている。バトル中のスキル演出は動きが派手すぎず、戦術判断の邪魔にならないバランスが保たれている。マップのビジュアルは汚染によって荒廃した市街地や森林が丁寧に描かれており、ポストアポカリプスの閉塞感を静かに演出している。BGMはアンビエント寄りの重厚なサウンドで、戦闘時には緊張感を煽る電子音楽が展開する。楽曲の質は高く、長時間プレイしても飽きが来ない。
ストーリーはSUNBORNお得意の「SF × 陰謀 × 人形との絆」路線だ。前作からの世界観を引き継ぎつつ、新たな勢力と謎の組織が絡む政治的な陰謀が描かれる。主人公(指揮官)と人形たちの関係性は、単なる兵士と道具ではなく、互いの存在を支え合うような感情的な結びつきとして描かれており、各キャラクターの個別ストーリーも丁寧に掘り下げられている。ネタバレになるため詳細は伏せるが、世界の「汚染」の正体や、エクシリウムという場所の意味が徐々に明かされていく構成は、続きが気になる引力を持っている。前作プレイ経験がなくても話についていけるよう設計されているが、知っているとより深く刺さる描写も多い。
同ジャンルのタイトルと比較すると、ファイアーエムブレムシリーズのような伝統的SRPGに近い「考えて動かす」楽しさがベースにある。しかしアークナイツのようなタワーディフェンス要素はなく、純粋に1ステージを攻略する形式だ。ブルーアーカイブと比べるとストーリーの雰囲気はより暗く、シリアスな方向性を持っている。無料ゲームでありながら、PCネイティブのタクティクスRPGとして成立している点が最大の差別化であり、「ガチャゲーだから軽く触るだけ」という層を裏切るほどの骨格を持つ。
プレイ時間の目安は、メインストーリーをクリアするだけで30〜50時間程度は見ておきたい。各キャラクターのエピソードや難易度の高い挑戦ステージをこなすと100時間を超えることも珍しくない。エンドコンテンツとして高難易度の「協奏」モードや、定期的に更新されるイベントステージが用意されており、継続プレイのモチベーションは保ちやすい。ただし、ガチャの天井到達やキャラ育成の最終段階には相応のリソース(時間または課金)を要する。
注意点として、まずストーリーのボリュームと世界観の濃さゆえ、序盤の情報量が多い。固有名詞や組織名が次々と登場するため、設定をかみ砕く気力が必要だ。また、ガチャ要素が収益の根幹であるため、「好きなキャラを自由に使いたい」となると天井課金が現実的な選択肢になる場面もある。完全無課金でも攻略は可能だが、キャラへの愛着が強くなるほど財布と相談することになる点は正直に伝えておきたい。
「タクティクスRPGが好きで、アニメ調の世界観にも抵抗がない」「キャラクターのストーリーに感情移入しながら長期間腰を据えてプレイしたい」という人には、このタイトルはかなりの適合度を持つ。一方、リアル系グラフィックのRPGが好きな人、ガチャシステム自体を忌避する人、軽く数時間で終わるゲームを探している人には向いていない。無料である以上、まず触れてみる価値は間違いなくある——ただし、序盤の丁寧な世界観描写を読み飛ばさずに向き合うことが、このゲームを楽しむための唯一の条件だ。
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