ペルソナ5: The Phantom X

ペルソナ5: The Phantom X

Persona5: The Phantom X

開発: ATLUS発売: SEGA無料

PlayNext レビュー

怪盗団のスタイルをそのままスマートフォンとPCの画面に持ち込んだとき、果たしてあの熱量は保たれるのか――『ペルソナ5: The Phantom X』は、その問いに対してかなり真剣に向き合った作品だ。シリーズ累計2,700万本を超えた看板IPをベースに、基本プレイ無料のガチャ型RPGとして生まれ変わったこのタイトルは、「無料だからといって手を抜いていない」という姿勢を随所で見せてくる。 舞台は『ペルソナ5』から少し時間が経過した世界。主人公は前作の仁王雨ではない新しい少年で、彼もまた歪んだ欲望を抱えた大人たちの「心の怪盗」として行動することになる。オリジナルの怪盗団がすでに伝説として語り継がれているという設定が巧みで、前作を知っているプレイヤーには「あのメンバーが今どこにいるのか」という興味を抱かせながら、新規プレイヤーでも世界観に入りやすい入口を用意している。日常シーンと異世界「メメントス」の探索が交互に展開されるリズムは本家そのままで、学校・放課後・夜という時間の流れが物語に緊張感を与えている。 ゲームプレイの中核はターン制コマンドバトル。弱点属性を突いてダウンを取り、総攻撃(ワンモア)でたたみかける快感はシリーズファンなら即座に「これだ」と思えるほど忠実に再現されている。ただし本家との最大の違いはパーティ編成の自由度で、プレイアブルキャラクターはガチャで獲得する仕組み。新たな仲間を引き当てるたびに専用のコープ(コンフィデント)イベントが解放され、そのキャラクターの過去や動機を掘り下げるエピソードが楽しめる。この「ガチャ=キャラクターの物語への入口」という設計は、単なるスペック競争に終わらないよう意識された工夫だ。テンポ面では、オートバトルや倍速機能が実装されているため周回の苦痛は少なく、スマホゲームとしての利便性はしっかり確保されている。 ビジュアルの完成度は基本無料タイトルとしては破格と言っていい。赤・黒・白を基調としたUIデザイン、ペルソナ召喚時のアニメーション、探偵事務所や渋谷を再現した立体的なフィールド表現――いずれも『ペルソナ5』の美学を引き継いでいる。特にコープイベントのカットシーンはフルボイスかつ演出も丁寧で、スマホゲームにありがちな「テキストを読ませるだけ」の手抜き感がない。サウンドトラックは目黒将司サウンドの系譜を受け継いだジャジーなBGMが揃っており、戦闘・探索・日常それぞれのシーンで雰囲気を効果的に高める。耳で「ペルソナらしさ」を感じられる点はシリーズファンへの最大の誠意とも言える。 同種のガチャRPGと比較すると、『原神』や『崩壊:スターレイル』が広大なオープンフィールドや複雑なシステムで差別化を図るのに対し、本作はあくまで「コンパクトな都市生活+コマンドRPG」という原点を守っている。ストーリー消化型のプレイスタイルに近く、日々のコンテンツをこなしながら物語を積み重ねる感覚は、むしろ昔ながらの据え置きJRPGに近い。スタミナ消費型のソシャゲよりもずっと「ゲームらしい」一日の過ごし方ができる。 プレイ時間の目安としては、メインストーリーを追うだけなら1日30分〜1時間程度の積み上げで数週間は楽しめる。エンドコンテンツには高難度のボスバトルやランキング形式の挑戦コンテンツが用意されており、戦力を突き詰めたいプレイヤーなら100時間以上の遊び場がある。ただしガチャのピックアップ周期に合わせてプレイ計画を立てる必要があり、スタミナ管理やデイリーミッションの消化というルーティン作業は避けられない。 注意しておきたい点もある。基本無料とはいえ、強力なキャラクターを確実に入手しようとすれば相応の課金が必要になる場面は出てくる。また、物語の核心に触れるコンテンツが徐々に解放される設計のため、序盤はチュートリアルやシステム説明が続き、テンポが遅く感じる人もいるだろう。さらにオンライン必須のため、通信状況の影響を受ける点もオフライン志向のゲーマーには引っかかるかもしれない。 こういう人には強く勧めたい――『ペルソナ5』本編をプレイ済みで世界観が好きだが、同じゲームを何周もするのは気が向かないという人。ペルソナシリーズが気になっているが本編に踏み出すハードルを感じている初心者。毎日少しずつストーリーを楽しむのが好きな、ガチャゲームのルーティンに抵抗がない人にとっては、クオリティと無料という条件が素直に刺さる一本だ。逆に、ガチャのランダム性やスタミナ制に根本的な不満を持つプレイヤー、あるいはペルソナ独特の「学園生活+心理世界」という設定に興味がわかない人には、このゲームの強みが刺さりにくいかもしれない。無料だからとりあえず触れてみる価値はある――ただし、スタイリッシュなビジュアルと音楽に引き込まれた後は、思ったより長い付き合いになることを覚悟しておいてほしい。

スクリーンショット

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