
エトランジュ オーヴァーロード
Etrange Overlord
開発: Gemdrops, Inc.発売: NIS America, Inc.¥8,580
PlayNext レビュー
「悪役令嬢が地獄でのし上がる」——このコンセプトを初めて聞いたとき、どこか耳慣れたなろう系の匂いを感じた人も多いだろう。だが、エトランジュ オーヴァーロードはその期待を良い意味で裏切ってくれる。本作の核心は、単なる「悪役令嬢もの」のストーリーではなく、地獄という閉じた世界を武力で制圧していく爽快な征服体験にある。敵を倒し、仲間を増やし、版図を広げていく——このサイクルが一度噛み合い始めると、気づけば数時間が過ぎている。
ゲームプレイの基軸はアクションRPGのバトルだが、その手触りはどちらかといえばライトめだ。操作はシンプルで、コンボの複雑な入力を要求されることはない。主人公のエトランジュを動かす感覚は軽快で、敵の群れへ突っ込んでいく気持ちよさが前面に出ている。重要なのはキャラクターの育成と、仲間として加えた悪魔たちの編成だ。誰を連れて行くか、どのスキルを伸ばすかで、同じ戦場でも戦い方が大きく変わってくる。フルコントローラーサポートが実装されており、ソファでくつろぎながら遊べる点も好印象で、テンポよくバトルをこなしていくのに適した操作体系になっている。
仲間集めのシステムが本作の最大のフックだ。敵として立ちはだかった悪魔を説得や撃破によって配下に加えていくプロセスは、MegaTen(女神転生)シリーズを連想させる部分もある。ただし本作はそこまで複雑ではなく、どちらかといえばキャラクターの個性とドラマを楽しみながら仲間を増やしていく感覚に近い。集めた仲間にはそれぞれ背景があり、単なる戦闘要員ではなくストーリーの登場人物として機能している。編成のやり込みが好きなプレイヤーには、試行錯誤する余地がしっかり用意されていると感じるはずだ。
ビジュアル面では、日本のアニメ・ゲームのテイストをベースにした2Dキャラクターイラストと3D空間の組み合わせが採用されている。エトランジュ本人のデザインはいわゆる高貴さと凶暴さを兼ね備えた「悪役令嬢」のお手本のような造形で、見ているだけで主人公としての存在感がある。敵として登場する悪魔たちもバリエーション豊かで、地獄という舞台設定を活かした禍々しいデザインから、どこか愛嬌のあるキャラクターまで幅広い。サウンドは派手さより世界観の雰囲気に寄せており、バトル中のBGMは緊張感とテンポ感を支えている。カスタム音量調整機能があるため、BGM・SE・ボイスの比率を自分好みに調整できるのも細かい配慮だ。
ストーリーは「地獄に堕とされた悪役令嬢が這い上がる」という一本軸がぶれない。シリアスとコミカルのバランスが取れており、主人公エトランジュの傲慢さと底に流れる信念が物語を引っ張る。地獄の住人たちとの掛け合いには笑えるシーンも多く、重苦しくなりすぎない塩梅が心地よい。ネタバレは避けるが、「成り上がりの果てに何が待っているのか」という問いが物語全体を貫いており、エンディングに向けてモチベーションが持続しやすい構成になっている。
類似タイトルとして挙げるなら、ストーリー面では同じGemdropsが手がけた「HuniePop」「ピタゴラ」とは毛色が違い、むしろアクションRPGと陣営拡大を組み合わせた点でDungeons系のゲームや、スピンオフ的な意味でのオーバーロード(小説原作ゲーム)に近い印象を受ける。ただし戦略性の深さはそれらより抑えめで、アクション部分のカジュアルさが際立っている。ソウルライクのような死に覚え要素はなく、難易度調整も可能なため、アクションゲームに苦手意識がある人でも入りやすい。
プレイ時間の目安としては、メインストーリーをクリアするだけなら15〜25時間程度が目安になるだろう。仲間を全員加えたり、各キャラクターの個別エピソードを追ったりすれば、さらに積み上げられる。協力プレイ(オンライン・画面分割・Remote Play Together)に対応しており、友人と一緒に地獄を制圧していく体験は本作ならではの楽しみ方だ。ローカル協力での画面分割プレイはソファゲームとしてかなり映える。周回前提の設計かどうかは一周目の手応えで判断することになるが、キャラクター編成を変えての再挑戦は十分動機になりうる。
気になる点も正直に述べておく。¥8,580という価格設定は、国内アクションRPGとしては平均的だが、コンテンツ量や演出規模で納得できるかは人によって分かれる。また、ゲームの軸がシンプルなぶん、戦略性の深みや難易度の高さを求めるプレイヤーには物足りなさを感じる場面があるかもしれない。アクション操作の複雑さよりもキャラクターや世界観を楽しむゲームであるため、純粋なアクションゲームとして購入すると期待値のズレが生じる可能性がある。
このゲームを強くおすすめしたいのは、「悪役令嬢・悪魔・地獄」というキーワードだけでワクワクできる人、陣営を広げながら物語を追っていくRPGが好きな人、友人と気軽に協力プレイを楽しみたい人だ。反対に、ソウルライクやアクションの高難度に楽しさを見出すプレイヤーや、100時間以上のやり込みを期待する人には、別のタイトルを先に検討した方がいいかもしれない。痛快な「悪役令嬢の成り上がり劇」を体験したいなら、その期待にはしっかり応えてくれる一作だ。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 1時間
日本語版をプレイしたいのですが、ゲームを起動すると英語で表示されます。 ゲーム内には言語設定がありませんでした。 そのため、Steamで言語を日本語に設定してみましたが、反映されません。 ___ なるほど、最初のシーンをクリアしないと言語設定ができないんですね。では、オープニングのストーリーをもう一度日本語で見ることはできますか?
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











