CrossCode

CrossCode

開発: Radical Fish Games発売: Deck13¥594
アクションアドベンチャーインディーRPG

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

CrossCodeが提示する体験は、一言で言えば「過去への愛と未来への問いかけが同居したアクションRPGの到達点」だ。スーパーファミコン時代のドット絵グラフィックを纏いながら、現代のインディーゲームとして2018年に正式リリースされたこの作品は、懐かしさと新しさを同時に突きつけてくる。¥594という価格から想像する規模を軽く10倍は超えるボリュームと完成度。プレイし始めた瞬間から、「これはただのレトロ風インディーではない」と思い知らされる。 戦闘システムの核心は、近接攻撃と遠隔攻撃(ボール投擲)を組み合わせたリアルタイムアクションにある。主人公のリアは声を失った謎の少女で、ゲーム内のMMORPGワールド「CrossWorlds」のプレイヤーとして動き回る。ボールを素早く投げて壁に跳ね返らせ、複数の敵に同時ヒットさせる爽快感は独特で、どこにも似た感触を見つけられない。ガードとステップ回避を組み合わせたダッジングシステムも精密で、ボスとの駆け引きはソウルライクに近い緊張感を生む。しかしソウルライクほど理不尽ではなく、むしろリズムゲーム的な「パターンを読んで反応する」快感に近い。操作が手に馴染んでくる中盤以降、戦闘がパズルからダンスに変わる瞬間がある。 パズル要素は正直に言って本作最大の個性であり、人を選ぶ要因でもある。ダンジョン内のギミックパズルは、レベル設計の巧みさで言えばゼルダの伝説シリーズと比較しても遜色ない。ボールの軌道、タイマー、スイッチ、移動する足場が複雑に絡み合い、解法が見えた瞬間の「あっ、そうか!」という感覚は他では味わいにくい。ただし難易度は高く、詰まって30分以上立ち往生することも珍しくない。ゲーム側もそれを理解しており、段階的なヒント機能が用意されている点は親切だ。パズルの難しさを調整するオプションも後のアップデートで追加されており、アクション重視でプレイしたい人への配慮も感じられる。 ビジュアルはスーパーファミコン風の16ビットスタイルだが、ライティング表現と滑らかなアニメーションによって「当時のゲームを現代技術で再現した」のではなく「当時のスタイルを採用した現代のゲーム」という印象を与える。キャラクターの表情変化、水面の反射、夜と昼の大気感、これらが2Dドット絵の文法の中で見事に機能している。サウンドトラックはリバティ・ラデッカー氏が担当し、各エリアの雰囲気を完璧に補強する楽曲群が揃っている。戦闘時のアドレナリンが上がるバトルテーマと、広大なフィールドを探索するときの少し哀愁を帯びたBGMの落差が、旅の感情的な起伏を作り出している。 世界観はMMORPG内世界という入れ子構造を採用しており、「ゲームの中のゲーム」という設定がSF的な問いかけを自然に生む。リアは記憶を失った状態でCrossWorlds内に接続されており、自分が何者か、なぜここにいるのかを探りながら物語が進む。ネタバレを避けつつ言えば、この設定はゲームプレイと物語が有機的に絡み合う巧さを持っており、「MMOの中のキャラクター」という立ち位置が単なる舞台装置に留まらない。プレイ後半で回収される伏線の数々は、序盤から丁寧に積み重ねられていたことに気づかされる。 類似作品との比較で言えば、アクション面はHyper Light Drifterに近い俊敏さを持ちながら、RPG深度はChrono Triggerを意識した重厚さがある。ただしHyper Light Drifterよりずっとナラティブが豊富で、Chrono Triggerよりずっとアクション寄りだ。Stardew ValleyやHollowKnightと並んで「インディーの頂点」として語られることが多いが、その理由は規模感の話ではなく、完成度とオリジナリティの話だと感じる。 プレイ時間はメインストーリーのみで50〜60時間程度、全サイドクエストと収集物込みで80〜100時間に達する。DLC「A New Home」も含めるとさらに追加。周回要素はないが、ニューゲームプラス相当のやり込みとして、全ダンジョンチャレンジやタイムアタック要素が存在する。値段を考えると、コストパフォーマンスは異常と言っていい。 注意点としては、序盤1〜2時間は少しテンポが遅く感じる可能性がある。チュートリアルが丁寧すぎるくらい丁寧で、ゲームが加速するまでに時間がかかる。また英語テキストが大量にあり日本語化はファンが有志パッチを提供している状況のため、環境構築に一手間必要な場合がある(Steam版の日本語対応状況は要確認)。パズル難易度が高い局面での詰まりは覚悟しておいた方がいい。 「ゼルダとRPGとアクションゲームを全部やりたいが一本にまとめてくれ」という人には文句なしに強くすすめる。80年代〜90年代のゲームへのノスタルジーを持ちながら現代的な洗練も求めている人にも刺さる。逆に、即座に爽快感を得たい人や長大なRPGに腰が引ける人、複雑なパズルが苦手な人は合わないと感じるかもしれない。それでも¥594という価格は「とりあえず試す」ハードルを極限まで下げており、少しでも興味があるなら触れて損はない一本だ。
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スクリーンショット

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