Total War: THREE KINGDOMS

Total War: THREE KINGDOMS

開発: CREATIVE ASSEMBLY発売: SEGA¥1,316
アクションストラテジー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

三国志の英雄たちが覇を争う中国大陸を、キャンペーンマップの俯瞰視点とリアルタイム戦場の二層構造で体験できるのが「Total War: THREE KINGDOMS」の核心だ。ターン制の外交・内政フェーズで丹念に国力を積み上げ、いざ宿敵と対峙すれば数千の兵が衝突するリアルタイム戦闘へとシームレスに移行する。この「大局と局地戦の往復」こそ、Total Warシリーズが長年培ってきた醍醐味であり、三国志という題材との相性は過去作の中でも群を抜いている。 キャンペーンを始めると、まず武将の個性の豊かさに驚かされる。曹操、劉備、孫堅といった著名人物はもちろん、軍師・武将・文官それぞれに独自の性格特性と人間関係が設定されており、誰を家臣に迎え、誰を友好勢力として育て、誰と死闘を演じるかという選択が自然と物語として積み重なっていく。たとえば関羽を謀略で討ち取れば後々の外交に陰を落とし、義兄弟の絆を描いたイベントが別の陣営で発生するといった具合に、歴史的文脈を遊びの中に埋め込む設計が丁寧だ。 戦闘フェーズの手触りは、ヨーロッパを舞台にした過去作と大きく異なる。本作には「演義モード」と「記録モード」の二種類があり、演義モードでは劉備や曹操ら英雄武将が文字通りの超人として戦場を駆ける。単騎で数十の兵を薙ぎ倒し、一騎打ちで敵将の首を取る場面は三国志演義の浪漫そのもの。記録モードに切り替えれば武将は部隊指揮官として機能し、よりリアルな集団戦術ゲームになる。この二択は序盤に設定するだけでなく途中変更も可能で、自分が求める体験に合わせて柔軟に調整できる点は親切な設計だといえる。 地形の活用が戦闘の勝敗を大きく左右するのはシリーズ共通だが、THREE KINGDOMSの戦場は特に森林・丘陵・川沿いの地形バリエーションが豊富で、伏兵を仕掛けたり騎馬隊で側面を崩したりという戦術的判断が毎回問われる。歩兵・弓兵・騎兵の三すくみを理解し始めると、数的不利な状況でも地形差と編成の工夫で逆転できる瞬間が生まれ、それが中毒性につながっている。 ビジュアルの完成度は高く、戦場の規模感と細部の作り込みが両立している。数千の兵が乱戦を繰り広げる中、旗印がなびき、鎧の質感や武器の反射光が描かれる。カメラを引けば雄大な戦場全体を把握でき、寄せれば個々の兵士の動きまで確認できる。楽曲は中国古典音楽を現代オーケストラでアレンジしたもので、キャンペーン画面のおごそかな琴の音と、戦場の緊迫感を高めるパーカッションの対比が場面切り替えの没入感を高めている。 世界観の面では、三国志演義と三国志正史の両方をリスペクトした折衷的なアプローチが取られている。諸葛亮の登場演出、赤壁の戦いへの道筋、桃園の誓いを彷彿させる義兄弟システムなど、原典を知るプレイヤーへのファンサービスが随所に盛り込まれている一方、史実との細かい差異を気にし始めるとキリがないので、あくまで三国志の「雰囲気」を楽しむ器と捉えるのが正解だ。 同ジャンルの競合と比較すると、「Civilization VI」が内政・外交の深みで勝負するターン制ゲームであるのに対し、THREE KINGDOMSはリアルタイム戦闘の臨場感を主軸に据えた設計で差別化している。「Romance of the Three Kingdoms XIV」(コーエーテクモ)との比較では、後者が内政シミュレーションの緻密さを売りにするのに対し、本作は戦場の指揮官としての体験を前面に出している。どちらが優れているかではなく、「戦場で兵を動かす爽快感が欲しいか」「政治・外交の算盤をはじく快感が欲しいか」で選ぶべきゲームが変わる。 プレイ時間の目安は1キャンペーンで40〜80時間程度。シナリオごとに勢力や初期状況が異なり、曹操でのプレイと劉備でのプレイでは外交環境も内政の優先順位もまったく変わる。全勢力をコンプリートしようとすれば数百時間に及ぶのは珍しくない。DLCが複数存在し、八王の乱や南蛮遠征など基本キャンペーンとは異なる時代・テーマを追加するため、本編に満足した後の延命コンテンツとして機能する。 注意点も正直に述べておく。序盤の外交・内政画面は情報量が多く、初めてTotal Warシリーズに触れるプレイヤーには学習コストが高い。チュートリアルは用意されているものの、全要素を把握するには実際にキャンペーンを数十時間プレイする必要がある。また、後半キャンペーンでは版図が広がりすぎて1ターンの処理に時間がかかるようになり、中盤以降に失速を感じるプレイヤーも多い。AIの外交判断が理不尽に感じられる場面があることも、長期間議論されてきた点だ。 こういう人には迷わずおすすめできる。三国志の物語が好きで、史実や演義の登場人物に愛着がある人。RTS的な戦場指揮と中長期的な国家経営の両方を1タイトルで楽しみたい人。「Shogun 2」や「Warhammer II」など過去のTotal Warシリーズで遊んだことがある人。逆に、純粋なリアルタイム戦略ゲームとして「StarCraft II」のような緊密な操作感を求める人や、内政シミュレーションの数値管理だけを楽しみたい人には物足りなさを感じる可能性がある。¥1,316という現在の価格は、このボリュームと完成度を考えれば間違いなく割安だ。
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スクリーンショット

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