
モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~
Monster Hunter Stories 2: Wings of Ruin
開発: CAPCOM Co., Ltd.発売: CAPCOM Co., Ltd.¥3,990
アドベンチャーRPG
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
モンスターを狩るのではなく、モンスターと並んで戦う——その一点だけで、このゲームは「モンスターハンター」という看板を背負いながら、まったく異なる体験を提供している。『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』は、狩猟アクションではなくコマンドRPGだ。しかし「アクションを抜いたら薄くなるのでは」という心配は、プレイ開始から数時間で吹き飛ぶ。むしろこの形式でなければ描けなかったモンスターとの絆の物語が、じっくりと心に積み上がっていく。
戦闘の核心は「三すくみシステム」にある。力・技・速のいずれかを選び、相手の攻撃タイプを読んで上回る手を出す——じゃんけんに似た構造だが、実際には深い。敵モンスターには行動パターンがあり、怒り状態や体力残量によって技の選択が変わる。さらに相棒モンスター「オトモン」との連携攻撃「絆技」が発動するタイミングを意識すると、単純な読み合いが一気に立体的になる。ポケモンのバトルに近い感覚がありながら、1ターンの密度はより高い。「なんとなく強い技を連打」では詰まる局面が必ず来るため、考えることをやめさせない絶妙な設計だ。
オトモンの収集と育成が、このゲームのやり込みを底なしにしている。モンスターの巣に潜り込んで卵を盗み出し、孵化させてオトモンにする流れは、ポケモンで言えばタマゴ厳選に近い中毒性がある。各モンスターは「遺伝子」を持ち、それを組み合わせることで能力を強化できる。強い組み合わせを研究し、ねむりの粉を駆使して特定の卵を狙いに行く作業は、気づけば数時間が消えている。オトモンは200種類以上登録されており、コンプリートを目指すかどうかで総プレイ時間が大きく変わる。
ビジュアル面では、本家モンスターハンターシリーズとは対照的なポップで彩り豊かなグラフィックが特徴だ。モンスターたちは本家よりも丸みを帯びてデフォルメされており、恐ろしさよりも可愛らしさや愛着が前に出ている。ラティオハイランドの草原、霧深い密林、溶岩地帯——各フィールドは明確に異なる色調を持ち、探索のたびに気分が切り替わる。BGMはシリーズお馴染みの生演奏サウンドで、戦闘曲は拍子が変わりながらテンションを維持し続ける。特に終盤のボス戦BGMは単体で聴いても完成度が高い。
物語は、「破滅の翼」を持つと噂されるリオレウスの卵をめぐって動き出す。主人公はモンスターと絆を結ぶ「ライダー」の一族の孫であり、幼なじみや個性豊かな仲間たちと旅を続ける中で、世界規模の危機へと巻き込まれていく。ストーリー自体はJRPGの王道を丁寧になぞっており、派手な意外性よりも丁寧な人物描写と感情的な盛り上がりを優先している。モンスターたちが単なる戦闘ツールではなく、感情を持つ存在として描かれる場面は、本家シリーズにはない独特の感動がある。ネタバレを避けて言えば、中盤以降の展開は予想以上に真剣な方向へ舵を切るため、序盤の牧歌的な雰囲気で油断していると不意打ちを食らう。
比較するなら、ポケモンシリーズが最も近い参照点になる。ただしポケモンと決定的に違うのは、こちらのRPG部分の厚みだ。装備の強化、スキルの付け替え、ライダーとオトモンの役割分担など、プレイヤーキャラクター側にも育成の幅がある。また『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズとも似た配合・遺伝子システムを持つが、モンスターハンターという素材があることでモンスターへの愛着がより強く働く。本家のモンスターを知っていればいるほど、オトモンへの感情移入が深まる構造だ。
クリアまでのプレイ時間は30〜40時間が目安だが、エンドコンテンツまで含めると80時間以上かかることも珍しくない。クリア後に解放されるコンテンツはかなりの量があり、オンライン協力クエストでは他プレイヤーと一緒にレアなモンスターを討伐できる。遺伝子の厳選や全オトモンのコンプリートを目指し始めると、100時間超えは現実的な数字だ。
注意点を挙げるとすれば、序盤のテンポはかなりゆっくりしている。チュートリアルが丁寧な分、最初の5〜6時間はシステムの説明とシナリオ描写に多くの時間が割かれる。アクションに慣れたモンスターハンタープレイヤーが「本家と違いすぎる」と感じて離脱するケースもある。また、三すくみの読み合いが運の要素を含むため、理不尽な負けを感じる瞬間がある点も正直に書いておきたい。
こういう人に強くすすめる——ポケモンやドラクエモンスターズで収集と育成の沼にはまった経験がある人、モンスターハンターの世界観は好きだがアクションが苦手な人、じっくりとしたJRPGを求めている人、オフラインでもオンラインでも楽しめるタイトルを探している人。反対に、モンスターハンターに求めるものがひたすらアクション的な爽快感である人、テンポの速い戦闘を好む人、コマンドRPGというだけで食指が動かない人には向かないかもしれない。
「狩るのではなく、共に戦う」という体験を、これほど誠実に作り込んだタイトルは多くない。¥3,990という価格も、このボリュームと完成度を考えれば文句なしの水準だ。
スクリーンショット











