
Borderlands 2
開発: Gearbox Software発売: 2K¥495
アクションRPG
PlayNext レビュー
銃を撃つたびに新しい銃が生まれる——そんな奇妙なループが、なぜこれほど中毒性を持つのか。『Borderlands 2』の核心はそこにある。撃って、倒して、拾って、また撃つ。その繰り返しがいつの間にか10時間、20時間と続いてしまう。FPSの即物的な爽快感とRPGの成長欲求を一本のゲームに詰め込み、セルシェーディングの荒野でひたすら暴れ回る体験は、今なお色あせない。
ゲームプレイの手触りは独特だ。銃はすべてランダム生成で、メーカーごとに明確な個性がある。弾が爆発するTorgueの武器、酸でじわじわ溶かすMaliwan、引き金を引き続けるほど精度が上がるHyperion——同じアサルトライフルでも挙動がまるで違う。だからこそ、アイテムを拾うたびに「これはいいか?」と比較する作業が苦にならない。むしろその判断が楽しい。RPG的なスキルツリーも充実しており、4人の主人公それぞれが3系統のツリーを持つ。たとえばサイレン(マヤ)は敵を宙に浮かせるフェイズロックで戦況をコントロールするが、ツリーの取り方次第でヒーラー寄りにも火力特化にもなる。ビルドを練る楽しさがある。
戦闘のテンポは速い。敵のHPがゼロになったとき「セカンドウィンド」と呼ばれる復活システムが発動し、瀕死でも別の敵を倒せば立て直せる。これが絶妙で、ギリギリの状況でも諦めずに戦い続ける理由になる。ソロでも十分に楽しめるが、最大4人の協力プレイになるとカオスが加速する。仲間と役割分担しながら大型ボスを崩していく快感は、本作特有のものだ。
ビジュアルはセルシェーディングを採用しており、コミック調の黒縁が世界全体を覆う。荒廃した惑星パンドラの荒野、雪山、毒の沼——ステージごとに異なる表情を持ちながら、一貫してポップかつ暴力的な美学が貫かれている。2012年のゲームながら、このアートスタイルのおかげでグラフィックの古さをほとんど感じさせない。サウンドは銃声のパンチが強く、ダメージ数値がポップアップする視覚的な演出と合わさって、撃つこと自体に快感が宿るよう設計されている。
ストーリーはシリーズ前作『Borderlands』の後日談で、悪役ハンサム・ジャックが軸になる。このキャラクターが本作最大の魅力のひとつだ。プレイヤーを罵倒し、嘲笑し、時に哀愁も見せる——一方的に会話を押しつけてくる厄介な悪役なのに、憎めない。ゲーム業界屈指の「好きな悪役」として語り継がれる理由がプレイすればわかる。世界観はポストアポカリプスのウェスタンにSFを掛け合わせたような、荒野と皮肉とユーモアが混在する独特の空気感を持つ。
似たゲームとの比較で言えば、『Destiny 2』や『The Division 2』とルートシューターという括りで並べられることが多いが、方向性は異なる。Destiny 2がオンライン前提の共有世界で緻密なエンドコンテンツを志向するのに対し、Borderlands 2はオフラインでも完結するキャンペーンが主軸だ。『ディアブロ』シリーズとも近いが、あちらの見下ろし視点に対してBorderlandsは一人称視点の銃撃が快感の中心にある。FPSに慣れたプレイヤーがRPG的な深さを求めるなら、まずこちらから入るのが自然かもしれない。
プレイ時間の目安は、メインストーリーだけなら20〜25時間。サイドクエストを拾いながら進めると40時間超は当たり前に消える。クリア後はTrue Vault Hunter Mode(2周目、難易度上昇)が解放され、さらにUltimate Vault Hunter Mode(3周目)まである。エンドコンテンツとしてはレイドボスが複数存在し、最高レアリティの装備を狙って周回するやり込みが待っている。DLCも複数あり、全部含めると100時間越えは現実的だ。
注意点も正直に書いておく。本作はゲームとしての完成度が高い一方、テキスト量が多くテンポが落ちる場面もある。ハンサム・ジャックの一方的な長セリフは最初は新鮮だが、繰り返されると人によっては飽きる。また、ソロでの難易度はやや高く調整されており、特に後半のボス戦では詰まることもある。ランダム生成ゆえに運の悪いドロップが続くと進行が辛くなる局面もある。完全な一本道のストーリー体験を求める人には、オープンワールド的な寄り道の多さが散漫に感じられるかもしれない。
こういう人に強くすすめたい——銃のビルドを試行錯誤しながら強くなっていく過程が好きな人、友人と笑いながら協力プレイがしたい人、ブラックなユーモアとカオスな世界観が刺さる人、FPSとRPGの中間地点を探している人。逆に、シリアスなストーリーを求める人、オンライン前提のゲームサービス型を期待する人、整然としたゲームデザインを好む人には合わない可能性がある。
価格は500円を切る水準で、これだけのボリュームが遊べるコストパフォーマンスは異常と言っていい。セール時はさらに割引されることも多い。「とりあえず試してみるか」という気軽さで手を出して、気づいたら50時間溶けている——それがBorderlands 2というゲームだ。
スクリーンショット











