
VRChat
開発: VRChat Inc.発売: VRChat Inc.無料
PlayNext レビュー
VRChatを「ゲーム」と呼ぶことに、少し躊躇いを感じる人もいるかもしれない。クリアすべきステージがあるわけでもなく、倒すべきボスが待っているわけでもない。では何があるのかといえば——「人」がいる。世界中から集まった何万人ものプレイヤーが、それぞれ自分だけのアバターをまとい、誰かと話し、笑い、時には泣く。VRChatの核心体験とは、突き詰めれば「偶発的な出会い」そのものだ。
ログインするたびに、昨日とは違う世界が広がっている。ある日は日本の縁日を再現したワールドで見知らぬ人と花火を眺め、翌日はホラーワールドに迷い込んで怖さのあまり絶叫し、気づけば深夜に哲学談義をしている——そんな展開が普通に起きる。これはゲームデザイナーが用意したシナリオではなく、プレイヤーたちが作り上げた無数のワールドと、そこに流れ込む生身の人間のエネルギーが生み出す化学反応だ。
操作の手触りは、PCでデスクトップモードとして遊ぶか、VRヘッドセットを使うかで大きく変わる。デスクトップモードではキーボードとマウスで移動・視点操作を行い、ジェスチャーはFキーのホールドで切り替える形式。VRモードでは両手のコントローラーを使って物を掴んだり、手を振ったり、指の形でハンドサインを出したりと、身体表現が格段に豊かになる。本来の体験を味わいたいなら、やはりVRヘッドセットが推奨だが、Meta Quest単体でも十分遊べる点はハードルの低さとして評価できる。
ワールドの種類は驚くほど多様だ。写実的な廃墟探索ものから、アニメ調の喫茶店、物理演算を使ったミニゲーム集、美術館さながらのアート展示空間まで、公開されているワールド数は膨大で、探しきれないほどある。コミュニティ主催のイベントも日常的に開かれており、DJライブ、映画鑑賞会、語学交流会、果てはVR婚式まで行われている。「今夜どこに行こうか」という選択肢が多すぎて、ワールドのブラウジングだけで時間が消える。
ビジュアルの幅は意図的に広い。ハイエンドのPCとVRで体験するレイトレーシング対応の美麗ワールドもあれば、ローポリのノスタルジックな空間もある。統一されたグラフィックスタイルがない代わりに、クリエイターが完全な自由を持っている。その自由が時に牙を剥き、著作権的にグレーなキャラクターのアバターが溢れているのも現実だが、それもまたVRChatの生態系の一部だ。BGMや環境音はワールドごとに異なり、質の高い音響設計のワールドではイマージョンが大幅に高まる。
似たサービスとしてはRobloxやRecRoom、Cluster(日本向け)が挙げられる。Robloxはゲームコンテンツが中心でより低年齢層向け、RecRoomはゲーム性が強く初心者に入りやすい構造を持つ。ClusterはVRChat同様のソーシャルVR路線だが、日本語コミュニティに特化している。VRChatが他と一線を画すのは、コミュニティの規模とワールド・アバターのカスタマイズ自由度の高さだ。Unity製ワールドをアップロードできる環境は、技術者とアーティストを惹きつけ続けており、結果として他プラットフォームでは見られないクオリティのコンテンツが継続的に生まれている。
プレイ時間の概念がほとんど意味をなさないタイトルで、数十時間で「終わった」と感じる人もいれば、数千時間を費やしても飽きないという人も珍しくない。エンドコンテンツという概念自体が存在せず、「次のワールドへ」「次のイベントへ」「今日は誰と話そうか」という繰り返しがゲームループを形成している。有料サブスクリプション(VRChat Plus)でアバターのお気に入り枠拡張や装飾品が解放されるが、無課金でもコア体験に制限はない。
ただし、人を選ぶ要素も正直に伝えなければならない。VRChatはコミュニティが命であるがゆえに、人間関係のトラブルと無縁ではない。英語圏ユーザーとの交流が多く、言語の壁を感じる場面もある。早期アクセスタイトルのため、動作の不安定さやUIの使いにくさも残る。また、VRモードでの長時間プレイはVR酔いや身体的疲労を引き起こすことがあり、自分のペース管理が必要だ。孤独に黙々と遊ぶスタイルには根本的に合わず、他者と関わることへの積極性がない場合、広大な空間をただ徘徊するだけになりかねない。
人と話すことが好きで、国籍やバックグラウンドの違う人間と偶然つながることに面白みを感じる人には、これ以上ない体験を提供してくれる。クリエイター志望でUnityを学んでいる人にとっても、自作ワールドを公開してフィードバックを得られる場として機能する。逆に、明確な目標とクリア感を求めるプレイヤー、オフラインで完結したいプレイヤー、人見知りで見知らぬ人との会話に抵抗があるプレイヤーには、正直なところ向いていない。VRChatは「場所」であり「インフラ」であり、それ自体が楽しいというより、そこで何をするか・誰に会うかが全てを決める。その不確定性こそが、このプラットフォームの最大の魅力であり、最大の難しさでもある。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 629時間
VRのミニゲーム集みたいな感じです。うろうろしてたら陽気な人たちに絡まれて一緒にゲームしてました。 単純なゲームばかりですがVR空間で人と一緒に遊ぶのは楽しい。 あと、この歩き方のインターフェースいいかも。
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











