Once Human

Once Human

開発: Starry Studio発売: Starry Studio無料

PlayNext レビュー

廃墟と汚染物質が支配する世界で、人間はもはや食物連鎖の頂点ではない。「Once Human」が他のサバイバルゲームと一線を画す最大の特徴は、その世界の根本的な異質さだ。単なるポストアポカリプスではなく、「星芒(スターダスト)」と呼ばれる謎の物質が地球全土を侵食し、動植物から建物まであらゆるものが変異・汚染された世界を舞台にしている。プレイヤーはその汚染に適応した超人「メタヒューマン」として目覚め、崩壊した文明の残骸を拠り所に、再び地に足を付けた生活圏を築いていく。恐ろしいのは、この世界の脅威が単なる凶暴な動物や武装した敵プレイヤーだけでなく、現実の物理法則を無視した怪異——エシュロンと呼ばれる異形の怪物たち——にある点だ。初めてフィールドに出た瞬間から、この世界はプレイヤーに「生き残れ」ではなく「理解しろ」と迫ってくる。 実際のゲームプレイは、採掘・クラフト・建築という「The Forest」や「ARK: Survival Evolved」に馴染みのある骨格の上に、オープンワールドMMO的な厚みが乗っかった構造だ。序盤は食料・水・武器といった生存基盤の確立に追われるが、中盤以降は「領地」システムが本格始動する。自分の拠点を設計図に基づいて自由に設計し、農場・工房・倉庫を整備していく過程は、「Palworld」の建設モードに近い満足感がある。ただし「Palworld」よりも建築の自由度は高く、壁や床の形状・角度を細かく制御できるため、こだわり派のプレイヤーは数時間が瞬く間に過ぎていく。 戦闘の手触りはTPSとして十分に水準を満たしている。照準のブレ・反動・弾薬管理が適切に機能しており、「Rust」のようにスキルで全てが決まるゲームとは異なり、装備のティアと立ち回りが両方重要だ。ボス戦——特にシナリオ進行で発生するエシュロンとの遭遇——は、ソロでは歯ごたえがある一方、数人のパーティで連携すると戦術の幅が広がり、MMOのレイドに近い達成感が得られる。武器は近接・銃火器・特殊能力の三軸で構成され、「メタスキル」と呼ばれる固有アクションを付与することでビルドの個性が出る。このビルド構築の深さは、「Outriders」や「The Division 2」を想起させる。 ビジュアル面は、汚染された世界観に反して鮮やかな色彩設計が特徴的だ。腐食した都市の灰色と、星芒汚染が引き起こす青白い発光、そして手付かずの自然が残る緑の対比が美しい。Unreal Engine 4ベースで構築されたオープンワールドは広大で、砂漠・湿地・廃墟都市・森林と多様なバイオームが存在する。サウンドは環境音の密度が高く、廃工場の軋む金属音や、エシュロンの接近を知らせる不規則な鳴き声が緊張感を演出する。BGMはやや控えめで主張が少ないが、フィールドを探索する際に世界観の没入感を邪魔しない設計になっている。 世界観の核心にあるのは「人類が作り出したものが人類を滅ぼした」という命題だ。星芒はどこから来たのか、なぜメタヒューマンだけが適応できるのか、そして廃墟に残る記録が語る「以前の文明」の姿——これらが断片的に開示されていく構成は、「Control」や「Alan Wake 2」のようなニューウィアード的世界観に通じる。ストーリーを追わなくてもゲームは楽しめるが、ロアを深堀りすることで世界への愛着が格段に増す。 プレイ時間の目安として、メインシナリオをこなしつつ拠点を整備し、エンドコンテンツ(高難度のボス討伐や、シーズン毎に更新される特殊イベント)に参加するまでを含めると最初の100時間はあっという間だ。重要な点として、このゲームはシーズン制を採用している。数ヶ月ごとにサーバーがリセットされ、全プレイヤーが同じスタートラインから競うシーズンが始まる。この仕組みにより「後から始めたら追いつけない」という問題は解消されているが、積み上げてきたキャラクターがリセットされることに拒否感を覚えるプレイヤーも一定数いる。 注意すべき点として、基本無料タイトルではあるがガチャ・バトルパス・外見装備等のマネタイズが存在する。ゲームプレイに直結する有利要素の課金売買は控えめだが、コスメ課金の誘導は継続的に発生する。また、オープンワールドMMOとして常時オンラインが前提のため、ソロプレイはできても完全オフライン環境では遊べない。サーバー品質は地域によって差があり、ピーク時のラグは改善途上という印象だ。さらに、建築・クラフトの奥深さゆえに、チュートリアル後の「何をすればいいかわからない」迷子感は「Conan Exiles」以上に大きいため、まずは目標を一つ決めてから動く習慣が求められる。 「次に何をプレイすれば良いか迷っている」PCゲーマーの中でも、サバイバルクラフトで建築にこだわりたい人、MMO的なコミュニティの中で協力プレイを楽しみたい人、そして「Palworld」や「Rust」のような無料or低コストで長く遊べるタイトルを探している人には強くすすめられる。反対に、シーズンリセットが許容できない人、完全ソロ・オフラインでのんびり遊びたい人、ストーリードリブンの一本道RPGを期待する人には合わないだろう。無料で始められる敷居の低さと、ハマればシーズンをまたいで何百時間と没頭できる奥行きを兼ね備えたこのゲームは、サバイバルMMOというジャンルの現在地を示す一作だ。

スクリーンショット

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