The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition

The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition

開発: Bethesda Game Studios発売: Bethesda Softworks¥1,099
RPG

PlayNext レビュー

ドラゴンが空を舞い、山の頂から広大な雪原を見渡すその瞬間、プレイヤーは確信する――このゲームは「終わらない」と。スカイリムの核心体験は、一言で言えば「自分だけの伝説を作る自由」だ。用意されたストーリーに乗るのも良し、ひたすら鍛冶師として生きるのも良し、400時間プレイしても「まだ行っていない遺跡がある」という密度の濃さは、発売から15年近く経った今も色あせない。 ゲームプレイの手触りは、おそろしくおおらかだ。戦士、盗賊、魔法使い、あるいはその三つを全部かけ合わせたキャラクターを、クラス選択なしで育てられる。スキルを使えば上がる、というシンプルな成長システムのおかげで、「弓を使いたくなった」と思ったらそのまま弓を磨けばいい。主人公はドラゴンの言語を操る「ドラゴンボーン」という特殊な存在なのだが、そのメインクエストを一切無視して延々とギルドクエストや探索に費やすことも何も咎められない。テンポは決して速くなく、広大な大地を馬で駆けたり徒歩でのんびり歩いたりすることが前提の設計になっている。その移動中に突然ドラゴンが降ってきたり、山賊のアジトを発見したり、「ちょっと寄り道」が連鎖して気づけば3時間経っている、という体験がスカイリムの真髄だ。 やり込み要素は異常なほど多い。メインクエスト、コンパニオンズ(戦士ギルド)、盗賊ギルド、暗殺者組織ダークブラザーフッド、魔法使いギルドのカレッジ、ドーンガード、ハースファイア、ドラゴンボーンという各DLCが詰まったSpecial Editionは、全てクリアしようとすれば200時間では足りない。しかも各クエストラインが独立して完成度が高く、特にダークブラザーフッドのストーリーはメインクエストより感情を揺さぶると評するプレイヤーも多い。 ビジュアルはSpecial Editionで大幅に強化されている。2011年のオリジナル版と比べ、水面の反射、遠景のフォグ、光の射し込み方が全て刷新された。スカイリムの寒々しい山岳地帯、夕焼けに染まる平原、幻想的なオーロラが輝く夜空は、今見ても「綺麗だ」と息をのむ場面がある。BGMはジェレミー・ソウルが手がけた楽曲群が圧倒的で、「Dovahkiin」の男声コーラスはゲーム音楽史に残る名曲だ。戦闘中にあのテーマが流れ始めると、プレイヤーのテンションは否応なく上がる。 世界観については、ネタバレなしで言えば「厚みが尋常ではない」という一点に尽きる。ゲーム内のあちこちに落ちている本を読み込んでいくと、何百年にもわたるタムリエル大陸の歴史が浮かび上がってくる。ダンジョンに放置された手記一枚でも、そこに小さなドラマがある。メインストーリー自体は「ドラゴンの復活を止めろ」という王道的な構造だが、それを補完する歴史や神話の厚みが、この世界を「生きている」と感じさせる。 似たゲームとの比較で言うと、同じオープンワールドRPGでも『ウィッチャー3』とは方向性が大きく異なる。ウィッチャー3がゲラルトという固定主人公の「プレイアブルな小説」であるのに対し、スカイリムはプレイヤーが主人公を一から形成する「ロールプレイのサンドボックス」だ。ストーリーの洗練度ではウィッチャー3に軍配が上がるが、「自分のキャラクターで自分の物語を作る」感覚ではスカイリムが他の追随を許さない。『Fallout 4』と比較すると、同じBethesda製ゆえに操作感は近いが、世界観はハイファンタジーとポストアポカリプスという真逆の雰囲気だ。 プレイ時間の目安は、メインクエストだけなら30時間ほど。全ギルドクエストを含めると100〜150時間、探索・収集・鍛冶などを含めると300時間超えも普通に起きる。エンドコンテンツは厳密な「クリア後コンテンツ」という設計ではなく、強敵ドラゴンの討伐やドラゴンボーンDLCのボスなど、歯ごたえのある戦闘が随所に散りばめられている形だ。周回については、種族や進め方によって全く違う体験になるため、2周目・3周目を遊ぶプレイヤーが多い。 ただし注意点も正直に伝えておきたい。戦闘システムは決して洗練されておらず、「剣で殴り、魔法を撃ち、ときどき回避する」というシンプルさは好みが分かれる。アクションゲームとしての気持ちよさを求めると物足りなさを覚えるかもしれない。NPC の AI も現代基準では素朴で、会話の自然さや行動パターンに古さを感じる場面がある。また、バグが多い作品としても有名で、クエストが突然止まったり、NPCが奇妙な挙動をとることが稀にある。PC版ではMODで多くの問題が解消されるが、コンソール版やPC版でもModを使わない場合は念頭に置いておくべきだ。 こういう人には強くおすすめしたい。「自分のペースでじっくり世界を探索したい」「RPGキャラクターを自分で育て、物語を作りたい」「100時間以上プレイできるゲームを探している」という人には、¥1,099という価格は破格の価値だ。逆に、「キビキビした戦闘アクションが好き」「明確なゴールに向かって効率よく遊びたい」「会話やストーリーの精緻さを重視する」という人には、ウィッチャー3やドラゴンズドグマ2の方が合うかもしれない。 スカイリムは「完璧なゲーム」ではない。しかし「他に替えがないゲーム」だ。あの冷たい山の空気、遠くに見える城、名もなき遺跡への好奇心――そのすべてが、プレイヤーを何度でも呼び戻す。
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スクリーンショット

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