Million Depth

Million Depth

開発: Cyber Space Biotope発売: PLAYISM¥1,496

Steam レビュー

好評

PlayNext レビュー

「時間を止めて、考える」――このたった一つの仕組みが、Million Depth を他のローグライク系ダンジョン探索とは根本的に異なるゲームにしている。戦闘が始まった瞬間、世界は静止する。敵の動き、飛来する攻撃、すべてが凍りつく中、プレイヤーだけが行動を選択し、コマンドを組み上げ、「動かす」ボタンを押す。その瞬間、仕込んだ戦術が一気に動き出す。この快感は、アクションゲームの反射神経でも、ターン制RPGの計算でもない。両者の美味しいところだけを取り出した、独特の緊張感と爽快感だ。 主人公の少女モマは、「キミ」という謎の人物を追い求めて、100万階層の地底世界「ミリオンデプス」へと墜ちていく。冒頭からただならぬ雰囲気を放つこの縦型ダンジョンは、単なるゲームの舞台ではなく、物語そのものの核心として機能している。階層を下るにつれ、世界の構造が少しずつ明かされ、「なぜここには人が住んでいるのか」「並行世界とは何を意味するのか」という問いが積み重なっていく。ネタバレを避けるために詳しくは語れないが、深層に向かうほど、この世界の歪みとモマ自身の存在意義が交差し始める展開は、探索を続ける強烈な動機になり得る。 ゲームプレイの核となる「武装クラフト」は、単純なアイテム収集とは一線を画す。ダンジョンで入手した素材や部品を組み合わせ、自分だけの武器や装備を作り上げるのだが、ここで重要なのが時間停止バトルとの噛み合わせだ。自分がどんな行動パターンで戦うつもりなのかを逆算し、それに合った武装を組む。近接特化でいくのか、範囲攻撃に寄せるのか、あるいは状態異常を軸にした搦め手を使うのか。その選択がバトルの組み立て方そのものを変えるため、「とりあえず強い装備」を目指すよりも「自分の戦術に合った構成」を追求する楽しさがある。試行錯誤の末に自分だけのビルドが完成したとき、戦闘の手触りが劇的に変わる瞬間が何度も訪れる。 時間停止バトルの操作感は、慣れるまで若干のハードルがある。止まった世界の中でコマンドを積み上げ、「実行」することで一連の行動が連鎖する仕組みは、最初は「次に何をすればいいか」迷うことも多い。しかし一度この思考フローが身に染みると、複数の敵が同時に動く状況でも落ち着いて対処できるようになり、それ自体が成長の実感につながる。パズルを解くような知的満足と、それが動き出した瞬間の映像的な爽快感が組み合わさることで、バトルを繰り返すことへの飽きが来にくい。 ビジュアルはインディーらしいドット絵ベースのスタイルだが、地底世界の暗がりと時折差し込む異質な光源の使い方が印象的だ。深層に進むほど色調が変容し、視覚的にも「普通ではない場所に来ている」感覚を与えてくれる。サウンドも世界観に徹底して奉仕しており、静止した戦闘画面の静けさと、コマンドが一斉に動き出した瞬間の音響が対比的に設計されている。派手さより没入感を優先した演出選択は、このゲームの方向性と完全に一致している。 他のゲームと比較するなら、時間停止バトルという構造においては Into the Breach が近い参照点になるが、あちらのグリッド上の完全情報パズルに対し、Million Depth はもう少し動的でアドリブ的な要素が残っている。ローグライク的な探索と成長の繰り返しは Hades や Dead Cells を思わせるが、アクションの反射神経より思考の組み立てに重心があるため、ゲームパッドを握るスピードより頭の中の整理速度が問われる点が大きく異なる。 プレイ時間の目安は、エンディングまでなら10〜15時間ほどが目安になるだろうが、このゲームの旨みは一周では終わらない。武装クラフトのルートが複数あり、異なるビルドで再挑戦するたびに戦術的な発見がある。また並行世界という設定が物語にも絡んでくる構造上、複数周回することで初回プレイでは見えなかった文脈が見えてくる可能性がある。Steam実績の内容も、やり込みの指針として機能する。 注意点として正直に書いておくと、時間停止バトルのシステムは人を選ぶ。リアルタイムアクションの爽快感を求めてプレイすると期待値とずれを感じやすい。また序盤はシステムの説明密度が高く、すぐに爽快感の核心に辿り着きにくい部分がある。「面白くなるまでの我慢」が多少必要なゲームであることは念頭に置いておきたい。 こういう人には強くおすすめできる――SFや並行世界ものの世界観が好きで、戦闘に頭を使いたい人。Hades のような繰り返しプレイを楽しめるが、反射神経より戦術思考が得意だと感じている人。自分だけのビルドを育てる過程そのものに楽しみを見出せる人には、¥1,496 という価格以上の体験が待っているはずだ。逆に、アクションにリアルタイムのスピード感と緊張感を求める人、一本道のストーリーを短時間で楽しみたい人には合わないかもしれない。 「墜ちながら、考える」という体験を提供するゲームは、これほど純粋な形ではそう多くない。Million Depth はその一点において、ジャンルのニッチを確実に埋めている作品だ。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 34時間

楽しい!ディメンションモード楽しいよ! アップデートでまだまだ楽しませていただける、こんなにありがたいことはない。 プレイするたびに思うのは、この世界を文字で追ってみたいこと。 ラノベのネタにはぴったりだと思うんだけどな。

👍プレイ時間: 16時間

進めれば進めるほどストーリーおもしろい 難易度としてはローグライクモードの磁場20からが本番で難しいし歯ごたえあり また100万階層めざして潜ってきます

👍プレイ時間: 23時間

雰囲気やキャラは好み。戦闘システムは珍しいタイプで楽しめた。ストーリーは最初はどうなるのかワクワクしたが、クリアしても意味不明なところが多すぎてもやもやする、総合的にぎりぎりおススメって感じです。

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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