
20 Minutes Till Dawn
開発: flanne発売: Erabit¥348
アクションアドベンチャーカジュアルインディーストラテジー
PlayNext レビュー
夜明けまであと20分。その短い時間の中に、ゲーマーが求める「もう一周」の衝動が凝縮されている。20 Minutes Till Dawnjは、押し寄せるクトゥルフ系の怪物たちを銃で薙ぎ払いながら生き延びるローグライクシューターだ。一言で言えば「弾幕を浴びせる快感」と「ビルド構築の思考」を20分という絶妙な尺に詰め込んだゲームである。
ゲームの流れはシンプルだ。キャラクターを選び、武器を選び、暗闇の中に放り込まれる。敵を倒すと経験値が落ち、レベルアップのたびにアップグレードを3択から選ぶ。序盤は余裕があるが、数分が経過するにつれ敵の密度が指数関数的に増していく。画面を埋め尽くす弾丸と触手と異形の群れ。それを突き破る快感が、このゲームの核心だ。
操作は非常にストイックで、移動と射撃(自動)とダッシュだけ。シンプルさの中に緊張感がある。キャラクターは常に動き続けなければ囲まれて死ぬ。特にボスが出現する波では、画面全体を意識しながら安全ルートを見つける判断力が問われる。テンポは終始速く、20分が体感5分のように感じる。それほど集中力を要する。
アップグレードの選択がこのゲームの骨格だ。弾丸が貫通するようになる、リロード時に爆発が起きる、体力を回復する、特定のステータスが大幅強化される……といったアップグレードを重ねるうちに、自分だけのビルドが完成していく。「貫通+リロード爆発+弾数強化」で画面全体を制圧するビルドや、「近距離特化の爆発系」で敵の群れを一掃するビルドなど、シナジーを見つけたときの快感は格別だ。最初は「なんとなく強そうなやつ」を選んでいたのが、10周もすれば「このキャラにはこのルートが強い」と頭の中でビルドを設計し始める。
ビジュアルはドット絵ベースのゴシックホラー調。キャラクターは小さくシンプルだが、背景の不気味な暗闇と敵の群れが醸し出す圧迫感はしっかりと伝わる。エフェクトも控えめながら、弾丸が貫通して複数の敵を串刺しにする瞬間の爽快感を視覚的に伝えるには十分だ。サウンドも同様に派手さより雰囲気を優先したデザインで、耳障りのよい効果音が連射の気持ちよさを後押しする。BGMはダークなアンビエント系で、生存への緊張感をじわじわと煽ってくる。
世界観はH.P.ラヴクラフト作品にインスパイアされたクトゥルフ神話系だ。深夜の荒れ地に現れる異形の怪物たち、闇の中で孤立した主人公——説明的なストーリーはほぼなく、ゲームプレイそのものが「夜を生き延びる恐怖と意地」を体現している。キャラクターごとに固有の武器と特性があり、それぞれに合ったビルドや戦術を探るうちに、世界への愛着も湧いてくる。
同ジャンルの代表作として真っ先に名前が挙がるのは『Vampire Survivors』だろう。あちらが「ぼーっとしながら成長を眺める放置系の快感」を重視しているのに対し、本作はより操作の巧拙が結果に影響する。敵の弾をかわす必要があり、位置取りと移動が常に問われる。難易度はVampire Survivorsより高めで、初回クリアへの達成感も大きい。ビルドの深さは同等かそれ以上で、「どう組み合わせるか」を考える楽しさは十分に共存している。また『Brotato』と比べると本作のほうがシンプルで間口が広く、1セッションの密度が高い。
プレイ時間の目安は1周20分。初心者が最初の難易度をクリアできるようになるまでに5〜10時間ほどかかる印象だ。クリア後は難易度を上げてより過酷な条件に挑めるようになり、キャラクターや武器の解放を目指しながら周回が続く。全キャラ・全武器を解放してビルドの最適解を追い続けると数十時間は遊べる。ライトに遊ぶなら5〜15時間でも十分満足できる密度がある。
ただし、合わない人もいる。ビルドの組み合わせによっては「どうにもならない運ゲー」に感じるセッションがある。アップグレード選択肢が噛み合わないとクリアが極めて難しくなるため、「毎回公平に戦いたい」タイプのプレイヤーにはストレスになることも。また、画面の情報量が多くなる後半は若干の視認性の悪さが生じる。エフェクトの過多が苦手な人は注意が必要だ。
「ビルドを考えながらローグライクを遊びたいが、1セッションが長すぎると疲れる」という人に、このゲームはほぼ完璧に刺さる。348円という価格は、このジャンルのゲームとしては破格の安さだ。Vampire Survivorsを楽しんでいて、もう少し操作感と思考の比重が高いものを求めているゲーマーにも強く勧めたい。隙間時間の「あと1周だけ」が止まらなくなる、中毒性の高い良作である。
スクリーンショット











