龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル

龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル

Yakuza: Like a Dragon

開発: Ryu Ga Gotoku Studio発売: SEGA¥792
アクションアドベンチャーRPG

PlayNext レビュー

龍が如くシリーズの最大の転換点といえるのが、この7作目だ。それまでのシリーズを象徴していたリアルタイムのケンカアクションを完全に捨て去り、ターン制RPGへと大胆に生まれ変わった。この決断に賛否が巻き起こったのは当然だが、実際に遊び始めると数時間後には理解する。「これはこれで、龍が如くそのものだ」と。 新主人公・春日一番は、組への義理を守って刑務所に入り、18年後に出所したら裏切られていた——という、ドラマの主人公としてこれ以上ない設定を持つ男だ。無一文でホームレスたちと肩を並べながら這い上がっていく序盤は、シリーズ恒例の「底辺からの成り上がり」を過去作以上に泥臭く描いている。一番は筋金入りのドラクエ好きという設定があり、彼の目にはアルバイトも路上の不良も、すべてRPGのジョブシステムとして映る。ターン制バトルはこの「一番の妄想」という形で世界観に溶け込んでおり、突然の戦闘システム変更に違和感をほぼ感じさせない。 バトルは見た目こそドラクエやペルソナに近いが、独自の工夫が随所にある。フィールドに転がったバットや自転車を拾って攻撃する「落ちもの拾い」の要素、コマンド選択中も敵が動き回るため攻撃が外れることがある「移動ヒット判定」、タイミングよくボタンを押すことで与ダメージが変わる「インタラクティブアクション」など、純粋なターン制に小気味よい緊張感を加えている。ジョブシステムは中盤以降に本格解禁され、ホストや料理人、ブレイクダンサーといった横浜らしい職業が並ぶ。ジョブごとのコスチュームはどれもやや笑えるデザインで、シリアスな展開の合間の息抜きになっている。 横浜・伊勢佐木異人町という舞台は、シリーズの定番だった神室町や蒼天堀とまったく異なる空気を持つ。日本最大の中華街や港エリアが混在し、景観が常に変わるため散策だけで飽きない。夜になると色味が変わり、雑多さの中に独特の哀愁が漂う。グラフィックはPS4世代の限界点に近いクオリティで、キャラクターの表情芝居は特に丁寧だ。主要キャラが怒り、泣き、笑う場面での顔の演技は、日本産RPGの中でもトップクラスに説得力がある。BGMはシリーズお馴染みの歌モノが随所に使われており、感情的な山場でかかる楽曲は何度聴いても胸を打つ。 ストーリーは、政財界の腐敗と裏社会が絡み合う大きなスケールを持ちながら、根底にあるのは「家族とは何か」「捨てられた人間がそれでも信じるものは何か」という非常に個人的なテーマだ。登場する仲間キャラクターはそれぞれに重い過去を持ち、メインシナリオの合間に挟まるサブストーリーや仲間との会話イベントで徐々に掘り下げられる。一番自身のキャラクターは桐生一馬とはまったく別の方向性——無鉄砲で感情的で、それでいて人を惹きつける熱量がある——で、シリーズ未経験者でも感情移入しやすい。 ペルソナシリーズと比較されることが多く、確かにターン制・ジョブシステム・仲間との絆強化という構造は近い。ただし、ペルソナの繊細な青春劇と違い、龍が如く7はとにかく人情と義理の話だ。中年男たちが人生の傷を抱えながらそれでも立ち向かう物語は、ペルソナとは別の刺さり方をする。同じ龍が如くシリーズとの比較では、アクションの爽快感は薄れた代わりに、ストーリーと世界観への没入感は過去作以上とも言える。 メインクリアまでの目安は40〜50時間程度。ただし仲間の「バイトクエスト」や街のサブストーリーをこなしていくと80時間を超えることも珍しくない。エンドコンテンツには最強ボスを集めたダンジョン「ダンジョン・オブ・ダーク」と、経営シミュレーション的な要素を持つ「ドンドコ島」がある。どちらも作り込みが厚く、クリア後の満足感は十分だ。 注意点として、ターン制バトルは序盤こそテンポが遅めで、慣れるまでに数時間かかる。また一部の仲間は加入タイミングがストーリーの後半に集中しているため、育成が間に合わず終盤で苦戦するケースがある。難易度設定は途中変更可能なので、詰まったら下げることを躊躇わないほうがいい。シリーズの過去作を知っている場合は、本作で登場するいくつかの要素がより深く刺さるが、未経験でも本作単体で十分に完結している。 「RPGらしいRPGを、でも派手すぎず人情劇として楽しみたい」という人、ドラクエやペルソナで育った30代以上のゲーマー、そして「久しぶりにゲームで泣きたい」と思っている人には強く勧める。逆に、シリーズ従来のガチ格闘アクションを求める人や、ターン制の間合いがどうしても苦手な人には合わないかもしれない。¥792という価格は、このボリュームと物語に対して信じられないほど低い。少しでも興味があるなら、迷う理由はほぼない。
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スクリーンショット

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