
Sea of Thieves: 2025 Edition
開発: Rare Ltd発売: Xbox Game Studios¥2,695
アクションアドベンチャー
PlayNext レビュー
海賊というロマンは、多くのゲームが挑戦してきたテーマだ。しかし「本当に海賊になった」という感覚を与えてくれるゲームは、驚くほど少ない。Sea of Thievesはその数少ない例外であり、船の帆を張り、波に揺られながら仲間と大声で歌い、地平線の向こうに宝の島を目指す瞬間、それは間違いなく本物の体験だ。Rare Ltdが作り上げたこの世界は、単なるゲームの枠を超えて、「海賊ごっこ」を大人が本気でやる場所として機能している。
ゲームプレイの核心は「船の運航」にある。風向きを読みながら帆の角度を調整し、錨を上げ下げして停泊と出航を繰り返す。砲撃戦では砲弾を手作業で装填し、砲口の角度を目測で調整してから撃ち込む。船が浸水すれば桶で水をかき出し、穴が開けば板で塞ぐ。これらの動作はすべて手動で、一人でこなすには限界がある。自然と役割分担が生まれ、「操舵手」「砲撃担当」「修理係」という分業が機能し始める瞬間、チームとしての一体感が生まれる。ソロでの一人乗り小型船から、四人乗りのガレオン船まで選べるが、大きな船ほど要求される連携は高くなる。
陸でのアクションは比較的シンプルだ。剣と銃で戦い、スケルトンや海賊NPC、あるいは他のプレイヤーと戦う。操作は直感的で、複雑なコンボは存在しない。だが海上での砲撃戦は別物で、移動しながら敵船に狙いを定め、砲弾の落下軌道を予測する技術が求められる。慣れるまでは弾が全く当たらないが、命中率が上がり始めると、これが存外に爽快だ。特にメガロドン(巨大サメ)やクラーケン(大蛸)との海獣バトルは、全員が必死に動き回るカオスの中で勝利を掴む達成感が格別で、「あの時のクラーケン戦」は語り草になりやすい。
ビジュアルは一言で言えば「おとぎ話の海」だ。現実的なリアリティを追求するのではなく、デフォルメされた鮮やかな色彩で描かれた世界は、どんな場面でも絵になる美しさを持つ。夕暮れ時に橙色に染まる海、嵐の中で稲妻に照らされる自分の船、月光の下で静かに浮かぶ難破船の残骸——どれもスクリーンショットを撮りたくなる瞬間だ。サウンドは特筆もので、波の音、風の音、木造船がきしむ音が常に鳴り響き、それに加えて仲間と演奏できる楽器システムがある。アコーディオン、ラッパ、バンジョーを使って即席のセッションを始めると、突然この世界に引き込まれた感覚を覚える。
世界観には明確なメインストーリーがあり、「Tall Tales」と呼ばれるクエスト形式で語られる。海賊伝説や失われた秘宝、呪われた船乗りの因縁など、どれもきちんと作り込まれたシナリオで、謎解きや探索を楽しみながらロアを掘り下げていける。ただしこれはあくまでオプションで、ほとんどのプレイヤーは通常の交易や略奪を主軸にしている。世界は一つのサーバーに複数のプレイヤーが混在するオープンワールドであり、いつどこで他のプレイヤーと遭遇するかわからないという緊張感が常に存在する。
似たゲームで言えば、同じオープンワールド海洋アクションのBLACK FLAG(アサシンクリード)と比較されることが多い。しかしBLACK FLAGが「海賊の世界を体験するストーリーゲーム」であるのに対し、Sea of Thievesは「海賊の世界で生きるサンドボックス」だ。明確な目標が提示されないため、何をするかは自分で決める必要がある。ARK: Survival EvolvedやRustのような「サバイバルサンドボックス」に近い性質を持ちながら、暴力的な要素は抑えられており、あくまで冒険と協力に重きを置いている点が独自の立ち位置を作っている。
プレイ時間の目安は、メインのTall Talesをひと通りこなすだけでも20〜30時間はかかる。しかしこのゲームの本当の深みは繰り返しのプレイにある。交易会社のランクを上げ、特別な称号や装飾品を解禁し、「Pirate Legend」と呼ばれる最高ランクへ到達するには数百時間を要する。エンドコンテンツとしては高難度の砦攻略や、シーズンごとに更新されるイベントコンテンツが用意されており、定期的に戻ってくる理由が維持されている。ただし、いわゆる「強くなる」RPG的な成長要素はなく、外見のカスタマイズが主な報酬となる。
注意点として最も大きいのは、PvPが避けられない点だ。他のプレイヤーはいつでも敵として襲ってくる可能性があり、苦労して集めた宝を略奪されることもある。これを「面白い」と感じられるかどうかで評価が大きく分かれる。PvP要素が苦手なプレイヤーや、一人でのんびりプレイしたい人には向かない。また、ソロプレイは可能だが、やはり複数人でわいわいプレイすることを前提に設計されているため、一緒に遊べる固定メンバーがいる状態が理想的だ。定期的なアップデートで内容は充実しているが、基本的なゲームループの繰り返し感は否定できず、「目標を自分で設定できない人」には飽きを感じやすいかもしれない。
強くおすすめしたいのは、友人と定期的にオンラインゲームを楽しむグループ、特に複数人で協力と役割分担を楽しみたい人だ。ボイスチャットをしながら「左に舵を切れ!」「砲弾が来るぞ!」と叫び合う体験は、他のゲームではなかなか得られない。一方、一人でじっくりストーリーを楽しみたい人、PvPを完全に避けたい人、明確なロールプレイ進行を求める人には合わないかもしれない。
¥2,695という価格でこれだけの体験が得られることを考えれば、特に仲間がいる環境では非常にコストパフォーマンスが高い。風を切って海を駆け抜ける快感を、一度は味わってみてほしい。
スクリーンショット











