
Sons Of The Forest
開発: Endnight Games Ltd発売: Newnight ¥1,020
アクションアドベンチャーインディーシミュレーション
PlayNext レビュー
孤島に降り立った瞬間から、このゲームは「サバイバルとは何か」を根本から問い直してくる。Sons Of The Forestの核心体験は、ただ生き延びることではない。じわじわと迫る恐怖と闘いながら、何者かに見られている感覚の中で、手を動かし続けることだ。最初の夜が来る前に、プレイヤーは必死に木を切り、火を起こし、何かを作ろうとする。その「何か」を作り終える前に夜が来る。その繰り返しが、気づけば数時間を消し去っている。
操作の手触りは前作「The Forest」から大幅に洗練されている。木を斧で切ると木が倒れる方向にリアルな物理演算が走り、丸太をログキャビンに積み上げていく建築システムは直感的でありながら奥深い。特筆すべきは建築の自由度で、丸太を好きな角度で置いてカスタム構造を作れる「フリービルド」と、事前定義の設計図を使う「ガイドビルド」を混在できる点だ。斧を振るうたびにキャラクターの体力や体温、睡眠状態が変動し、複数のステータスを同時に管理しながら基地を拡張するループが成立している。この「作業に没頭していたら気づかずリソースが枯渇していた」感覚が、The Forestシリーズ特有の中毒性を生んでいる。
ビジュアルは現行サバイバルゲームの中でもトップクラスだ。密林を抜ける光の差し込み方、雨粒が葉に当たる表現、夜の闇の濃さ。特に雪山エリアの視界が霞むふぶき演出や、洞窟内の松明が照らす壁の陰影は、「美しい」と感じる余裕すら奪う迫力がある。BGMはほぼ存在せず、風音・虫の声・遠くから聞こえる何者かの足音がサウンドデザインの主役を担う。ヘッドフォン推奨と言われるゲームは多いが、Sons Of The Forestにおいてそれは必須に近い。足音の方向と距離から敵の接近を察知し、静寂が突然破られる瞬間のインパクトを最大限に受けとめるためには、音の立体感が不可欠だからだ。
ストーリーは「行方不明の富豪を捜索するために派遣された特殊部隊員」という導入から始まる。が、島に降り立った瞬間、捜索任務はすぐに二の次になる。プレイヤーは生きることに必死になりながらも、散らばったメモや構造物、不可解な地形を通じて、この島で何が起きたのかを断片的に知っていく。ストーリーは意図的に「語らない」スタイルで、謎を明確に提示せず積み上げていく作りだ。ネタバレは避けるが、前作をプレイしていると特定の要素でゾクリとする場面がある。初見プレイヤーでも十分楽しめるが、シリーズを通したファンへの報酬がさりげなく用意されている。
同ジャンルの代表格、「Valheim」や「Rust」と比較すると立ち位置がはっきりする。Valheimが北欧神話の世界観と段階的なボス攻略で「達成感のループ」を提供するのに対し、Sons Of The Forestは「恐怖の中で生き延びる体験」そのものが目的だ。Rustのようなマルチプレイヤー間の競争・略奪要素はなく、協力プレイが中心。最大4人で同じ島に降り立ち、役割分担して基地を構築できる。友人と一緒にプレイすると恐怖感は半減するが、その分ゲームプレイの密度と笑いの量が倍になる。ソロと協力プレイで全く別の体験になるタイトルだ。
プレイ時間の目安はメインストーリーを追うだけなら20〜30時間、建築や探索を満喫すると50時間以上になる。エンドコンテンツはそれほど豊富ではなく、ストーリーを終えた後の追加目標は薄め。周回要素もほぼないため、「やり込み型RPG的な無限ループ」を期待すると物足りなさを覚えるかもしれない。ただし、友人と新規ワールドを立ち上げてイチから基地を作り直す周回には十分な魅力がある。
注意点を正直に述べると、最適化の粗さは残る。高スペックPCでもフレームレートが安定しない場面があり、バグによってセーブデータが壊れるケースも報告されている(頻度は低下しているが)。また、敵AIの行動パターンが読めてくると後半の緊張感が落ちてくる。ホラー演出は「驚かせ系」が中心なので、純粋なホラーゲームほどの心理的重厚感は求めないほうがいい。
こういう人に強くおすすめしたい。夜通しゲームをやった経験があるサバイバルゲーム好き、友人と声を上げながら遊びたいグループ、「作る楽しさ」と「怖さ」を同時に味わいたい人。逆に、明確なクエストや目標がないと迷子になるタイプ、ホラー耐性が低い人、ストーリー重視でゲームプレイを選ぶ人には合わないかもしれない。価格は1,020円と手を出しやすいレンジにある。一晩だけ試すつもりが夜明けを迎えることになっても、筆者は責任を負えない。
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