
Saga & Seeker
開発: Dagdoria Studio発売: Dagdoria Studio¥1,500
PlayNext レビュー
「物語を消費するのではなく、物語を生み出す側になる」——このコンセプトだけで、『Saga & Seeker』が従来のRPGやアドベンチャーゲームとは根本的に異なる体験を目指していることがわかる。多くのゲームはプレイヤーに「用意された物語を追わせる」が、このゲームはプレイヤー自身の言葉や想像力を素材として、新しい物語を錬成していく。その感覚は、ゲームというより「インタラクティブな創作ツール」に近い。
ゲームプレイの中核は「物語錬成」と呼ばれるシステムだ。プレイヤーは好きなキャラクターを選び、自分で文章を書き込むことで物語の展開を方向付けていく。テキストアドベンチャーの選択肢システムとは違い、あらかじめ用意された選択肢を選ぶのではなく、自分の言葉がそのままゲーム内の物語に組み込まれていく点が大きな特徴だ。「こういう展開にしたい」「このキャラクターにこんなことを言わせたい」という欲求を、ダイレクトに物語に反映できる。テンポはゆったりとしており、じっくり考えながら言葉を選ぶ時間が求められる。瞬時の判断より、想像力と言語化の力が試されるゲームだ。
やり込み要素は「同じキャラクターで何度でも異なる物語を生み出せる」点にある。書き込む言葉が変われば展開も変わり、同じキャラクターとでも毎回異なる体験が得られる設計になっている。アプリ内購入が実装されているため、おそらくキャラクターやシナリオの拡張コンテンツが追加購入できる構造だろうが、基本プレイだけでも物語を生み出す体験のコアは十分に楽しめる。
ビジュアル面では、カジュアルなタッチのイラストが採用されており、ファミリーシェアリング対応が示すように幅広い年齢層を意識したデザインになっている。重厚な世界観よりも、親しみやすさと可愛らしさを前面に出したスタイルで、長時間眺めていても目が疲れない穏やかな色調が多い印象だ。サウンドは物語の雰囲気を邪魔しない控えめなBGMが中心で、プレイヤーが文章を考える際の集中を妨げない設計が見て取れる。
世界観については「Saga & Seeker」というタイトルが示す通り、叙事詩的な「Saga(物語・伝説)」と「Seeker(探求者)」が軸になっている。物語を求めて旅する者と、物語そのものが交わる世界を舞台にしており、メタフィクション的な構造——つまり「物語の中で物語を作る」という入れ子構造が世界観の根幹にある。詳細なストーリーはプレイヤーが作り出すものだが、その背景には独自の世界設定が用意されており、キャラクターたちはそれぞれ固有の背景と個性を持っている。
似たジャンルのゲームとして『AI Dungeon』や『Dwarf Fortress』のような「プレイヤーが物語を生み出す」系の作品が思い浮かぶが、『Saga & Seeker』はより敷居を低く、キャラクターへの感情移入を起点にしている点が異なる。『AI Dungeon』がAIとの対話で物語を生成するのに対し、こちらはプレイヤー自身の言語表現能力を活かす仕組みだ。また、乙女ゲームや恋愛シミュレーション系の「キャラクターとの物語を楽しむ」ジャンルとも近いが、そこにユーザー自身の創作参加という要素が加わっているのが独自の立ち位置といえる。
プレイ時間は1つの物語を作り上げるのに1〜2時間ほど、再プレイ性は非常に高い。「同じキャラクターで全く異なる展開を試したい」「書き込む文章を変えてどう物語が変化するか実験したい」というプレイヤーは、気づけば何十時間も費やしていることになるだろう。エンドコンテンツは蓄積した物語の数や、どれだけ豊かな物語を錬成できたかという「達成感の深さ」にある。明確なクリア目標よりも、創作の積み重ねそのものがコンテンツだ。
注意点として、このゲームは「受け身で楽しむ」タイプではない。何かを書き込まなければ物語が進まないため、文章を考えることに苦手意識がある人や、サクサクと読み進めたいプレイヤーには向いていない。また、物語の質がプレイヤーの言語化能力に依存するため、「自分の書いた文章が微妙だと感じてしまう」という体験が生じることもある。完成された物語を鑑賞したいというニーズには応えられないゲームだ。
こういう人には強くおすすめできる——好きなキャラクターとの「自分だけの物語」を作ることに夢中になれる人、小説や創作が好きで、それをゲームの形で楽しみたい人、何度も違うルートや展開を試して遊ぶのが好きな人、そしてキャラクターへの感情移入が深いタイプのゲーマーだ。逆に、アクションのような即時フィードバックや、完成されたシナリオの読み応えを求める人、テキストを打ち込む行為そのものに抵抗がある人には合わないかもしれない。
¥1,500という価格は、このジャンルの体験としては適正だ。物語を「与えられる」だけでは満足できなくなったプレイヤーが、次のステップとして手に取るべき一本といえる。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 39時間
この内容ならwebUIのやつで良くねと思ったそこのあなた。料金周りはコミュニティ参加代だと思えば大体合ってると思うよ。うん この作品の面白さの源泉は公式Discordサーバーの(キャラ、シナリオ、ログ)共有チャンネルだと思います この手のAI作品は基本的にコミュニティが本体だと思った方が良くて、不満足な部分を細かく詰めるなら自力でwebUIのLLMを使いましょう
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット










