
餓狼伝説 City of the Wolves
FATAL FURY: City of the Wolves
開発: SNK CORPORATION発売: SNK CORPORATION¥6,490
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
格闘ゲームの歴史において、「餓狼伝説」という名前が持つ重みは特別だ。1991年にSNKが生み出したこのシリーズは、当時の対戦格闘ゲームシーンに革命をもたらし、テリー・ボガードというキャラクターを世界的なアイコンへと押し上げた。しかし2000年の「餓狼 MARK OF THE WOLVES」以来、シリーズは長い眠りについていた。その26年の沈黙を破って登場した「餓狼伝説 City of the Wolves」は、単なるシリーズの復活ではない。現代の格闘ゲームシーンに真っ向から挑む、本格的な新作として世に放たれた作品だ。
このゲームの核心にあるのは「REVシステム」と呼ばれる新しいバトルメカニクスだ。試合中に蓄積するREVゲージを管理しながら、強力なREV必殺技やREVブロウを繰り出すことで試合の流れを一変させることができる。しかしここが巧みな設計で、REVゲージを使い続けると「オーバードライブ」状態に陥り、ガードが崩れやすくなるリスクを負う。攻める力を強化するほど防御が脆弱になるというトレードオフが、試合ごとに緊張感のある駆け引きを生み出している。ただREVゲージを回すだけではなく、どのタイミングで使い、どこで抑えるかという判断が勝敗を分ける。この管理の妙が、試合を単純な技の打ち合いではなく、心理戦の積み重ねへと昇華させている。
操作感については、ストリートファイター6やギルティギアXrdといった近年のタイトルと比較しても、独自の質感を持っている。ジャンプの軌道がやや高めで、空中戦の重要性が高い点は昔ながらの「餓狼」らしさを感じさせる。一方でラインシステム(前後の奥行き移動)は今作でも健在で、2D格闘ゲームでありながら独特の立体的な間合い管理が求められる。テリーのパワーウェイブやクラックシュートといった定番技はしっかり使い心地が更新されており、長年のファンにとっては「懐かしさ」と「新鮮さ」が同時に楽しめる。
操作スタイルが2種類用意されている点は、今作の大きな特徴のひとつだ。従来通りのコマンド入力を行う「アーケードスタイル」に加え、ボタン一発で必殺技を出せる「スマートスタイル」が選択できる。スマートスタイルは単なる簡略化にとどまらず、複雑なコマンドを省略しながらも対戦での実用性を保った設計になっている。格ゲー初心者がキャラクターの魅力を体験しやすい入口として機能しており、シリーズ未経験者でも試合の醍醐味に触れるまでの時間が短い。ただし上級者との対戦では、アーケードスタイルの精度と深みがモノを言う場面も多く、長く遊ぶほどコマンド入力の習熟が求められるようになる。
ビジュアル面では、「アートスタイル」と公式が呼ぶ独自の表現が目を引く。マンガや劇画の質感を意識したような輪郭と塗りのテイストは、ハイポリゴンのリアル系でも昔ながらのドット絵でもない、SNK独自の美学を打ち出している。背景ステージも作り込まれており、サウスタウンという架空の都市の退廃的な華やかさを、照明や群衆の演出で丁寧に表現している。キャラクターの勝利演出や試合前のカットシーンにも細かい遊び心があり、見ているだけで満足感がある。サウンドは格ゲーらしい熱量のあるBGMと、打撃音の爽快感が両立している。特に各キャラクターのテーマ曲は個性が強く、「このキャラを使いたい」という動機付けに一役買っている。
世界観については、欲望と暴力が渦巻く犯罪都市サウスタウンを舞台に、様々な動機を持つファイターたちが集う構造になっている。テリー・ボガードをはじめとする旧作からの帰還キャラと、今作で初登場の新キャラが交差する形でストーリーが展開する。各キャラクターのアーケードモードは独立した物語として機能しており、すべてを通じてプレイするとサウスタウンの全体像が浮かび上がってくる仕掛けになっている。ネタバレは避けるが、旧作ファンが反応するような要素も随所に盛り込まれており、過去作を知っている人ほど深く楽しめる構造だ。
プレイ時間の目安としては、ストーリーモードをひとりのキャラで通すだけなら1〜2時間程度だが、全キャラ制覇を目指すと10時間以上は必要になる。オンライン対戦に腰を据えて取り組み始めると、ランクマッチやカジュアルマッチでのキャラクター習熟に数十時間単位の時間が自然に消えていく。トレーニングモードのコンボ練習や、対戦相手ごとの攻略研究を含めると、真剣に向き合う人にとっての終わりはほぼない。ロールバックネットコードの実装により、オンライン対戦の快適性は高い水準にあり、遠隔地の相手とも比較的安定して対戦できる環境が整っている。
注意点として挙げておきたいのは、格闘ゲームの中でも「対人戦を楽しむ」ことを軸に設計されている点だ。ソロコンテンツはあるものの、このゲームが真価を発揮するのはあくまで対戦であり、オフラインでひとり黙々と遊ぶ設計ではない。また格ゲー入門者にとっては、スマートスタイルで間口を広げているとはいえ、対戦の本質的な読み合いや択のかけ方を理解するまでには一定の学習コストがかかる。コミュニティへの参加や情報収集を積極的に行う意欲がないと、壁を感じる場面も出てくるだろう。
格ゲーの対戦に真剣に向き合いたい人、特にストリートファイター6やテッケン8で物足りなさを感じていてSNK作品の操作感や独自システムに興味がある人には強くおすすめできる。また餓狼伝説シリーズのファンで旧作キャラの再登場や世界観の続きを追いかけたい人にとっても、26年越しの再会として感慨深い体験になるはずだ。一方で、格闘ゲームをほとんど触れたことがない人やソロプレイ中心の遊び方を好む人には、このゲームの真の面白さに到達するまでのハードルが高く感じられるかもしれない。それでも、スマートスタイルで気軽に触れてみるだけでも、このシリーズが持つ独特の空気感は十分に伝わってくる。26年分の期待を背負って復活した「餓狼伝説」は、格ゲーシーンの新たな選択肢として、確かな存在感を示している。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 14時間
ケンシロウ…個人的には嬉しいゲストキャラだけど、「餓狼伝説」というタイトルの意義は何処かに行ってしまったような気がする。「SNK版スマッシュブラザーズ」ふとこんなタイトルが思い浮かんだ。
👍プレイ時間: 687時間
フェイント技キャンセル・REVアーツREVアクセルでで攻め連係を作るのが面白いです。 フェイント技とブレーキングは昨今格闘ゲームでは唯一のシステムで他ではできない攻めや駆け引きが楽しめます、そして 迫力ある表現が多いので上手くなるほど気持ちいい、、おすすめです カラーエディットの自由度が高くハマります 初期作品~餓狼MOWまでの歴史を知った上でプレイした方が楽しめると思います よろしくお願いします
👍プレイ時間: 20時間
餓狼伝説の新作として申し分ない最高の出来です。 システム、キャラ、価格設定などもすごく良心的で最高です。 唯一の不満点がローディングです。 ローディングが長いのは仕方が無いけど、黒い画面にクルクル回る輪っかだと余計に長く感じます。 キャラのイラストや、ドットのミニキャラがかわいく動くなどの退屈させない工夫が欲しいです。 (サルのお手玉はやめてねw!)
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











