Euro Truck Simulator 2

Euro Truck Simulator 2

開発: SCS Software発売: SCS Software¥695
インディーシミュレーション

Steam レビュー

好評

PlayNext レビュー

ハンドルを握り、巨大なトレーラーを走らせながらヨーロッパの夜明けを迎える——そんな体験がたった695円で手に入る。Euro Truck Simulator 2は、タイトル通りトラックを運転してヨーロッパ中の都市を走り回るゲームだが、「ただの運転ゲーム」という先入観で近づくと、その深みに驚かされることになる。このゲームはシミュレーターでありながら、ある種の禅的な没入感を持つ異色の体験だ。 ゲームの核心は「移動」そのものにある。目的地に向かって数十分、時には1時間以上ハンドルを握り続ける。その間に何があるかというと——山岳地帯の曲がりくねった道、深夜のアウトバーン、霧に包まれた港湾都市、そして夜明けに染まるフランスの平原。ドラマチックなイベントも派手なアクションも起きない。それでも画面から目が離せない時間が確かに存在する。これは「作業ゲー」なのか「瞑想ゲー」なのか、プレイしながら自問することになるだろう。 操作は思ったより本格的だ。ミッションを受けて指定された積み荷を目的地まで運ぶ、それだけのループだが、細部に驚くほどのこだわりがある。交通法規を守らないと罰金や免停になり、急ブレーキや急カーブは積み荷にダメージを与えて報酬が下がる。信号無視、スピード超過、疲労運転——現実の道路で求められるすべてが、ゲーム内でも意味を持つ。ステアリングコントローラーを繋ぐと没入感がさらに増すが、キーボードとマウスでも十分プレイできる。 プレイを重ねるうちに資金が溜まり、自分のトラックを購入できるようになる。初期は会社からトラックを借りて仕事をこなすが、やがてMAN、Volvo、Scania、Mercedes-Benzといった実在する欧州トラックメーカーの車両を購入・カスタマイズできるようになる。エンジン、変速機、タイヤ、サスペンション、そして外装の塗装やアクセサリーまで、トラックを自分好みに仕上げる楽しみは想像以上に大きい。さらに従業員を雇って運送会社を経営する要素もあり、経営シミュレーションとしての顔も持つ。 グラフィックは2013年のゲームとしては驚異的な完成度で、現在もDLCや公式アップデートで継続的に改善されている。天候変化、昼夜サイクル、季節の変化(DLC)が実装されており、夕暮れ時のプラハの橋を渡る瞬間など、思わずスクリーンショットを撮りたくなる景色が随所に現れる。環境音も作り込まれており、エンジン音、路面を叩く雨音、街の喧騒が走行中の臨場感を支えている。長距離移動中は自分の好きな音楽やポッドキャストを流しながらプレイするスタイルが定着しているプレイヤーも多い。 類似ゲームとして挙げるなら、同社開発のAmerican Truck Simulator(アメリカ大陸が舞台)がある。舞台の文化圏やルートの性質が異なり、両方プレイしているユーザーも多い。Microsoft Flight Simulatorのような「移動そのものを楽しむ」系譜のゲームとも精神的に近い。一方でForzaやGran Turismoのようなスポーツドライビング、Wreckfestのようなクラッシュ系とはまったく異なる方向性にある。派手さや即時の達成感ではなく、長時間かけて育てる満足感を求めるプレイヤーに向いている。 プレイ時間は際限なく伸びる。基本マップだけでも数十時間は楽しめるが、DLCを揃えればスカンジナビア、イベリア半島、バルト三国、黒海沿岸など実在する地域が追加され、マップが数倍に拡張される。Steamワークショップには膨大な数のMODが存在し、リアルな物理挙動、追加車両、高精細テクスチャ、新ルートなどをコミュニティが長年にわたって提供し続けている。エンドコンテンツという概念があるゲームではなく、「どこまでやり込むかは自分次第」という設計だ。プレイ時間が1000時間を超えているプレイヤーも珍しくない。 注意すべき点もある。まずペースが極端にゆっくりしている。一般道では90km/h制限がかかる仕様があり(リアル設定の場合)、目的地まで実時間で30〜60分かかるのは普通だ。アクションや戦闘、パズルといった刺激的なゲームループを求めているなら、このゲームは合わない。また本体は安価だが、DLCの総額はかなりの額になる。地域マップDLCは一本1,000〜2,000円程度で、すべて揃えようとするとソフト本体の何倍もかかる。セールを活用しながら少しずつ揃えていくスタイルが現実的だ。 こういう人には強くおすすめしたい。長距離ドライブや旅そのものが好きな人、忙しい日常の中でひたすら「何も考えずに走れる時間」を求めている人、乗り物やカスタマイズに熱中できる人、そして経営シミュレーションやコツコツとした成長に喜びを感じる人。逆に、短時間でサクッと達成感を得たい人、常に何か新しい刺激を求める人、静的なゲームプレイに退屈を感じやすい人には向いていない。 このゲームの魅力を一言で表すなら「移動の詩」だと思う。目的地に着いたとき、「また走りたい」と感じるかどうか——それがこのゲームと自分の相性を決める唯一の基準だ。
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スクリーンショット

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