
Dying Light: The Beast Restored Land
開発: Techland発売: Techland¥6,067
PlayNext レビュー
人間と獣の境界で生きることを強いられた男の復讐劇――それが『Dying Light: The Beast Restored Land』の核心だ。ゾンビアポカリプスの中でパルクールと戦闘を融合させた独自スタイルで知られる『Dying Light』シリーズが、原点回帰とシリーズ進化を同時に果たした一作として登場した。主人公のカイル・クレインが長年の実験によって半人半獣の存在へと変貌したという設定は、単なるゲームプレイの口実に留まらず、プレイヤーが「何者であるか」という問いを常に突きつけてくる。
ゲームプレイの根幹は、おなじみのパルクール移動と近接戦闘の融合だが、今作では獣化能力が加わったことで根本的にテンポが変化した。通常状態ではビル間を飛び移り、ゾンビの頭上を駆け抜ける軽快な立ち回りが可能だが、ビーストモードに移行した瞬間、プレイヤーは文字通り「狩る側」へと転換する。爪による引き裂き、獣の瞬発力を活かした突進、そして敵集団への飛び込みといったムーブが解放され、群れの中心に飛び込んで薙ぎ払う爽快感は既存の『Dying Light』体験とは一線を画す。この二面性の切り替えがリズムを生み、「隠密でやり過ごすか、強引に突破するか」という判断の積み重ねが戦場ごとの手触りを変える。
武器のクラフトとアップグレードシステムは健在で、拾った廃材や敵ドロップから独自の近接武器を組み上げる楽しさは今作でも失われていない。加えてビースト能力のスキルツリーが新たに追加されており、アンロックする方向性によってプレイスタイルが大きく分岐する。パルクールの速度を極める方向、ビースト化の持続時間を伸ばす方向、あるいは回復能力を底上げする方向など、同じゲームを遊んでいても別のビルドの友人とは違う体験になる設計だ。メインストーリーをこなしながらスキルポイントを集めていくうちに、自分だけの「型」が生まれてくる感覚は、RPG的な充足感をアクションゲームの中に自然に埋め込んでいる。
ビジュアル面では、荒廃した中欧の田舎町を舞台にしており、朽ちかけた農場、霧に包まれた森林、錆びついた工場地帯が続く。特に昼夜の変化による雰囲気の落差が大きく、昼間は比較的安全に探索できるが、夜になると視覚や聴覚が鋭い上位ゾンビが徘徊し始め、同じマップが別のゲームのような緊張感を帯びる。サウンドデザインはホラー寄りで、遠くから聞こえる低いうなり声や、足元を踏みしめる不気味な音が常にプレイヤーの神経を刺激する。ビースト化時の効果音はとりわけ力強く、体感的な迫力を演出している。
ストーリーは、記憶と尊厳を奪われたカイル・クレインが、自分を実験体に変えた黒幕を追う復讐譚だ。彼が何者で、どんな代償を払ってきたのかが断片的に明かされる構成になっており、過去作プレイヤーには感情的な引っかかりが多い。一方、今作から入るプレイヤーでも理解できるよう補足が入るため、シリーズ未体験でも物語には入れる。ただし、過去作の文脈を知っていると台詞や設定の重みが増す場面が随所にあり、シリーズファンへの報酬として機能している。
類似ゲームとの比較で言えば、『Dead Island 2』と比べると移動の自由度と垂直方向の探索が格段に豊富で、街中を縦横無尽に駆け回る爽快感は本作のほうが上だ。一方で『The Last of Us Part II』のような重厚なナラティブ体験を求めると、本作はゲームプレイ優先の設計であることを感じるかもしれない。『Far Cry』シリーズとのアナロジーで語られることもあるが、本作はオープンワールドの「こなし感」より、戦闘一つひとつの身体性に重点が置かれており、敵との距離感や位置取りへの意識がより強く求められる。
プレイ時間はメインストーリーのみで20〜25時間程度、サイドクエストや収集要素を含めると40時間前後が目安だ。協力プレイは最大4人まで対応しており、フレンドとビースト化能力を組み合わせた連携プレイは別の楽しさがある。ニューゲームプラスや難易度別の実績解除など、一周クリア後のモチベーションを維持する要素も用意されている。
注意点として、本作はホラー要素が強く、夜の探索シーンや閉所での戦闘において強いストレスを感じさせる演出が続く。「怖いゲームは苦手だが爽快なアクションがしたい」という層には向いていない場面もある。また、前作と比べて序盤の難易度が高めに設定されており、スキルが育ちきるまでの時間帯に死にゲー的な忍耐を要求される。オープンワールドの密度についても、マップ全体が均一にコンテンツで埋め尽くされているわけではなく、やや間延びするエリアも存在する。
昼夜の緊張感を楽しみながらゾンビの群れを駆け抜けたい人、人間と怪物の狭間に立つ主人公の物語に感情移入できる人、そして友人と協力しながら混沌とした戦場を生き抜くスリルを求める人には強くおすすめできる。逆に、丁寧に描き込まれたナラティブを主目的にする人や、ホラー演出が全面に出るゲームに苦手意識がある人、パルクール操作の習熟に時間をかけたくない人には合わない部分が出てくるかもしれない。¥6,067という価格はシリーズの完成形に相応しいボリュームと密度の作品だと評価できる。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 87時間
楽しかった 他の人が言うように,移動のストレスは滅茶苦茶あって,特に車のチャレンジは何回も台パンしたけどそれを差し引いても楽しめた メインストーリーだけ見たらボリュームが薄いというのはあるかもしれないが,サイドクエストをすべてやろうとするとそこそこ時間がかかる ただ,アプデでレジェンドレベルに合わせて敵が固くなるようにしたのはまじでよくないと思う.無双感のために周回しようかなと思っていたところにこれだから二周目以降のモチベが下がっている...
👍プレイ時間: 74時間
移動がかなり面倒に感じたため、ファストトラベルがあればもっと気軽に遊べたと思います。 パルクールや戦闘の爽快感は1や2の方が上でしたが、それでも十分に楽しめる内容ではありました。 個人的には2の移動ギミックが好きだったので、そういった要素があれば、よりパルクールを楽しめたと思います。 全体のボリュームに対して価格はやや高めに感じるため、40%オフ程度のセール時に購入するのがちょうどいいと感じました。
👍プレイ時間: 238時間
1に比べると劣るが、2とは比較するとだいぶ楽しい 1にあったスピードランを復活してほしい!!! ストーリーは1の続きでキャラが同じってのは激熱 2のキャラも出てくるし ただ残念なのが1,2に比べてパルクールできるとこが少なすぎる。。。 今後のアップデートでマップ広げたりする予定なら今後期待
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











