Control Ultimate Edition

Control Ultimate Edition

開発: Remedy Entertainment発売: Remedy Entertainment¥450
アクションアドベンチャー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

連邦管理局(FBC)という秘密政府機関が入っているニューヨークの「最古の館」。外から見れば普通のビルだが、内部は常にシフトし続ける異空間で、物理法則が崩壊しかけている。Control はその奇怪な建物に足を踏み入れた瞬間から、プレイヤーを「何かがおかしい」という感覚で包み込み、最後まで手放さない。超能力アクションゲームでもあり、ホラーでもあり、SFスリラーでもあるこの作品は、一言で語れる体験を意図的に拒んでいる。それがこのゲームの最大の魅力だ。 主人公のジェシー・フェイデンは、失踪した弟を探して館に乗り込み、気がつけば局長の座に就いている。銃ひとつで始まる序盤は比較的おとなしいが、念動力——物を念で掴んで投げつける「ランチ」能力——を手に入れた瞬間、ゲームの密度が一変する。敵を浮かせてから破片を投げつけ、盾で弾丸を防ぎながら宙を駆け、壁を蹴って位置取りを変える。これだけの動作が同時に発生するのに、操作感はなぜか滑らかで、混乱するよりも気持ちよさが勝る。Remedy Entertainment が Alan Wake で培った「映像的なアクション演出」の文法が、三人称視点の操作と見事に噛み合っている。 戦闘のテンポは速いが、決してボタン連打ゲームではない。弾薬は自動回復するが無制限ではなく、体力は倒した敵からしか補充できないため、引き籠もりは即死につながる。常に前に出て、物理オブジェクトを使い倒し、能力をローテーションしながら戦い続けるサイクルが体に馴染んできたとき、このゲームが目指していた「超能力者としての没入感」がじわじわと実感できる。一見するとDark Soulsに近い緊張感があるが、本質的には違う。こちらのゲームはプレイヤーをどんどん強くすることに積極的で、強くなった実感が次のエリアへの意欲に直結している。 ビジュアルは独特の美学を持っている。「ブルータリスト建築」と呼ばれる無機質なコンクリートの空間を舞台にしながら、そこに異次元的な光と崩壊エフェクトが重なることで、現実と非現実の境界が溶け出したような映像が生まれる。戦闘中にコンクリートが砕け、粉塵が舞い、オブジェクトが宙を飛ぶリアルタイム物理破壊は、2019年の発売当時に物理演算の新しい基準を示した。Ultimate Edition の現行ハードでの動作はさらに磨かれており、レイトレーシングを有効にした環境光の反射は今見ても見応えがある。サウンドも秀逸で、重低音を効かせた効果音と不穏なアンビエントミュージックが、「次の角を曲がると何かいる」という緊張感を絶え間なく醸成する。 世界観の作り込みが異常に深い。アイテム説明、回収できるレポート、モニターに流れる映像——それらを丁寧に読んでいくと、FBCが何十年にもわたって「異常な物体(AWE)」を収集・研究してきた歴史が浮かび上がる。日用品が突然超自然的な力を持ち始める「共鳴する物体」の概念、次元の狭間から侵食してくる「ヒス」という敵の正体、施設内に暮らす人物たちの背景。どれもネタバレなしに語れる内容ではないが、物語の核心に近づくにつれて、「これはただのアクションゲームではない」という確信が深まっていく。Alan Wake シリーズとの共有世界観を持つため、両作をプレイ済みなら発見の喜びがさらに重なる。 ボリューム面では、メインシナリオのクリアに15〜20時間程度。Ultimate Edition には大型DLC「The Foundation」「AWE」が含まれており、これらを合わせると30時間前後の体験になる。サブミッションも量・質ともに充実しており、特定のボスを撃破することで解放される「センタービル攻略」的な展開もある。トロフィーやSteam実績の完全コンプリートを目指すなら、かなりやり込める設計だ。周回要素は薄めだが、能力ビルドの自由度があるため別ルートでのプレイにも一定の価値がある。 ひとつ正直に書いておきたいのは、序盤のとっつきにくさだ。念動力を獲得する前の数時間は、説明の少ない世界観と控えめな戦闘が続き、人によっては退屈に感じる可能性がある。また、マップが複雑な立体構造になっており、目的地までの経路が掴みにくい場面も多い。迷子になることがストレスになるタイプのプレイヤーには注意が必要だ。グラフィック負荷もそれなりで、レイトレーシングを全開にした環境ではフレームレートへの影響がある。 SCP財団的な「怪異を管理する組織」の概念に惹かれる人、Metroidvaniaの探索感と爽快なアクションを両立したものを求めている人、映画的な演出と深い世界観のゲームを探している人には、間違いなく刺さる一本だ。¥450という価格はシリーズを試すハードルとして破格に低く、もしこの体験が合えばDLCも含めて長く楽しめる。逆に、明快なストーリーと分かりやすいゲームループを求めているなら、やや難解に感じるかもしれない。Remedy の語り口は意図的に謎を謎のままにする傾向があり、「すべてを理解して終わりたい」タイプのプレイヤーはもどかしさを覚えることもある。 それでもこの作品は、プレイした後にしばらく頭の中に残り続けるタイプのゲームだ。「最古の館」の廊下を歩き続けた記憶、コンクリートを引き裂く念動力の手応え、そして断片的に提示され続ける謎——それらがひとつの体験として積み重なり、終わってもなお「あれは何だったのか」と考えさせる。そういう余韻を持つゲームは、そう多くない。
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スクリーンショット

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