エスケープ フロム ダッコフ

エスケープ フロム ダッコフ

Escape From Duckov

開発: Team Soda発売: bilibili¥1,800

PlayNext レビュー

アヒルが武装して殺しに来る——この一文で笑いが込み上げてきたなら、あなたはすでにこのゲームのターゲット層だ。「エスケープ フロム ダッコフ」は、タルコフライクな緊張感あるサバイバル脱出シューターというジャンルを、全力でコメディに振り切ったインディーゲームだ。しかしその笑いの裏側には、物資管理・装備強化・リスク判断という、本格的なサバイバルゲームの骨格がしっかりと存在している。「ふざけているのに、なぜか熱中してしまう」という、ある種の罪深い面白さがこのゲームの本質だ。 ゲームプレイの基本構造は、Escape From Tarkovをそのまま縮小・軽量化したようなものだ。プレイヤーはランを開始するたびに手ぶらの状態でレイドに突入し、マップ各所に散らばった物資を回収しながら脱出ポイントを目指す。道中には武装したアヒル(ダッコフ)たちが徘徊しており、プレイヤーの侵入を察知すれば容赦なく追ってくる。死亡すればそのランで集めた荷物はすべて失う。この「失うことへの恐怖」こそが、タルコフライクジャンルの核心的な緊張感であり、本作もそれを忠実に継承している。 見下ろし型の2Dビューを採用しているため、Tarkovのような三人称シューターよりも操作は直感的でとっつきやすい。エイムはマウスカーソルに向かって自動追尾する方式で、プレイヤーはポジション取りと引き撃ちのタイミングに集中できる。戦闘テンポは中程度——敵の動きはそこまで速くないが、数が多いと囲まれてあっという間に溶ける。一人ひとりの敵アヒルの挙動はコミカルながら、集団での圧力は本物で油断すると普通にやられる。このバランスが、笑いながら本気で考えさせる独特のプレイ感覚を生み出している。 ゲームの外周に存在するのが「隠れ家」の強化システムだ。ランで回収したアイテムを持ち帰ることで、徐々に拠点を改善し、より良い装備・物資を準備できるようになる。この「ランで稼いで、帰ったら強化して、また挑む」というループはMetroidvaniaよりも緩く、Tarkovよりもずっとカジュアルだが、それ自体が完結した動機付けとして機能している。「もう一回やってみよう」という気持ちが自然と湧いてくる設計だ。Steamワークショップにも対応しているため、将来的にはコミュニティMODによる拡張も期待できる。 ビジュアルはピクセルアートを基調としており、アヒルたちが真剣な顔でAK系の武器を構えているグラフィックのギャップが視覚的なギャグとして機能している。色使いは明るくはなく、やや薄暗い廃工場や路地裏といった退廃的な雰囲気のマップが中心で、「コメディなのになんかちょっと怖い」という奇妙な気分を与えてくれる。BGMはタクティカルシューターらしい緊張感のあるBGMをベースにしつつ、ところどころに明らかにズレたコミカルな効果音が差し込まれており、プレイヤーの緊張を意図的にほぐしてくる。 世界観の設定はあえて多くを語らない。なぜダッコフという場所にアヒルが武装して蔓延っているのか、プレイヤーキャラクターは何者なのか——そのあたりは暗示的に示されるにとどまり、「深く考えず、体験として受け入れてくれ」というスタンスが感じられる。これはゲームの弱点にもなりうるが、本作においてはむしろ潔さとして機能している。世界観の説明に時間を使わず、すぐにゲームプレイの面白さへと引き込んでくる。 似たゲームとの比較で言えば、Escape From Tarkovの直接的なパロディであることは間違いないが、難易度や複雑さはずっと低い。Tarkovは武器のカスタマイズだけで数十時間学習が必要だが、本作はその複雑さをそぎ落とし、「サバイバル脱出ゲームの面白さ」のエッセンスだけを抽出している。同じ見下ろし型タクティカルで言えばEnter the GungeonやHades系のローグライトとも似た空気感があるが、ランダムダンジョン生成ではなく固定マップを繰り返し攻略するスタイルで、地形の把握と最適ルートの習得が重要になる点でより「覚えゲー」寄りだ。 プレイ時間の目安としては、メインコンテンツを一通り体験するだけなら5〜10時間程度。隠れ家を完全に強化し、全エリアのルートを把握して安定して脱出できるようになるまでは20〜30時間ほど見ておきたい。難易度設定が用意されているため、ハードモードや縛りプレイでの周回も可能で、やり込み派には相応のボリュームがある。Steamトレーディングカードと実績も実装されており、コレクター勢への配慮もある。 注意点を正直に言えば、ゲーム全体の規模はインディーの小品であり、マップ数や敵の種類は大作と比べれば少ない。ストーリーの深みを求めるプレイヤーや、長時間にわたる物語体験を期待するプレイヤーには向かない。また、「アヒルが武装している」というネタ自体は最初の数時間で慣れてしまうため、そこから先はゲームプレイの面白さだけで評価することになる。その面白さは本物だが、笑いだけを期待していると肩透かしをくらうかもしれない。 こういう人に強くおすすめしたい:Tarkovに興味はあるが複雑すぎて手が出なかった人、タクティカルシューターをカジュアルに楽しみたい人、B級コメディ的な世界観が刺さる人、1,800円という価格でコスパよく中毒性のあるゲームループを体験したい人。逆に、深いストーリーと世界観構築を重視する人、マルチプレイや長時間のオンライン対戦を求める人、タルコフライクのリアルな複雑さそのものが好きな人には合わないだろう。 「アヒルから逃げる」というシュールな前提を笑いながら受け入れられるなら、このゲームはその期待に確実に応えてくれる。軽量化されたタルコフライクとして、入門としても、気軽な箸休めとしても、十分な密度と中毒性を持った一本だ。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 130時間

本家と違って、このゲームはPVEです。めっちゃ上手いプレイヤーに狩られるということはありません。 ・一番低い難易度(カスタムではない)でも実績がコンプできます。 ・武器防具を徐々に強くしていきながら、様々な依頼を達成しましょう。 ・アイテムを集めて、無事に生還することで持ち帰ることができます。やられたらその場で残るので頑張って回収しよう! ・基地のBGMがとても良いです。 なかなかお手軽な価格なので是非。

👍プレイ時間: 106時間

(プロパンガスは基地のQOLを上げてくれそうか?)(車のバッテリー重いのに複数持てと?) 用途不明、レアリティ不明のたくさんのアイテムを目の前にぜひ一度悩んでみてほしい 難易度調整は手広いのでTPS慣れしていなくとも安心(カジュアルでも適度にタヒねます)

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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