
僕のヒーローアカデミア ULTRA RUMBLE
MY HERO ULTRA RUMBLE
開発: Byking Inc.発売: Bandai Namco Entertainment無料
PlayNext レビュー
「好きなキャラクターで戦える」という体験が、このゲームの全てだ。バトルロイヤルというジャンルは数多く存在するが、僕のヒーローアカデミア ULTRA RUMBLEが他と一線を画すのは、「爆豪勝己として戦う」「轟焦凍として戦う」という、キャラクターへの没入感にある。単にスキンが違うだけではない。キャラクターごとに「個性」という固有能力が設計されており、同じバトルロイヤルでも全く異なる立ち回りを強いられる。これは原作ファンにとって夢の体験であり、同時にゲームとしての深みを生む設計でもある。
ゲームプレイの基本構造は3人1組・8チーム計24人によるバトルロイヤルだ。フォートナイトやApex Legendsのようなスクワッドベースの縮小戦と基本概念は共通しているが、操作感はアクションゲームにより近い。空中への飛翔、壁への張り付き、特殊移動など、キャラクターによって機動力が大きく異なる。爆豪は爆発を推進力にして空中を自在に飛び回り、緑谷出久は「フルカウル」でダッシュと高火力を両立する。この「自分のキャラクターの動かし方を身につける」過程が楽しく、習熟するほどに立ち回りの幅が広がっていく。
戦闘のテンポは速い。試合時間はおおむね10〜15分程度で、縮小するフィールド(ゲーム内では「スポット消滅」という概念)に追われながら積極的に動く必要がある。消極的に隠れ続けるだけでは生き残れない設計になっており、常に動きが求められる。また、「マップ内に出現するヴィラン」という要素もあり、NPCを倒すことでアイテムやキャラクターパワーの強化が得られる。単純なプレイヤー同士の撃ち合いだけでなく、このヴィラン処理も戦略の一部となる。
キャラクターは「タイプ」によって役割が分かれている。アタッカー、ストライカー、ラッシャー、エミッター、サポーターなど、各キャラクターに特性があり、チームのバランスを意識した編成も勝率に影響する。ソロでランダムチームに入ってもある程度機能するが、フレンドと組んで役割分担を話し合いながら戦うと、戦略的な面白さが格段に上がる。特定のキャラクターコンボで強力な連携が生まれる場面もあり、研究要素は豊富だ。
ビジュアルは原作アニメに忠実なセルシェーディングで描かれており、技の演出が非常に派手だ。爆豪の爆発、轟の氷と炎、デク(緑谷)の百%全力は、見ているだけでも気持ちいい。効果音とBGMも原作のテンションを踏襲しており、特に必殺技使用時の音響は「アニメそのまま」という印象を与える。ゲームとして遊んでいるというよりも、自分がアニメの中に入り込んでいるような感覚を演出することに成功している。キャラクターのセリフも豊富で、試合中のやり取りが原作ファンには刺さる。
世界観はアニメ「僕のヒーローアカデミア」の設定をそのまま使用しており、ヒーローとヴィランが対立する社会が舞台だ。ゲーム独自の深いナラティブがあるわけではないが、原作を知っていれば各キャラクターへの理解がプレイをより豊かにする。「このキャラがなぜこの技を使うのか」「このセリフにはどんな背景があるのか」という文脈が、ゲームプレイに感情的な重みを加える。原作未経験でも遊べるが、原作ファンであるほど熱量が上がる設計だ。
Apex Legendsやフォートナイトと比べると、動作の大袈裟さと演出の過剰さという点でULTRA RUMBLEは圧倒的に上だ。リアル路線ではなくアニメ的な誇張表現に全振りしており、100mを一瞬で駆け抜けたり空中を飛び回ったりする動きが常態化している。一方で、エイム精度や射程管理といったシューター的なスキルはほぼ不要で、近距離のアクションゲームとしての技術が問われる。シューター苦手なプレイヤーにとっては入りやすい反面、「バトルロイヤルらしさ」を求めるなら物足りないかもしれない。
無料プレイである点は非常に大きな強みだ。初期コストゼロで始められるため、気軽に試せる。ただし、ガチャやバトルパスによるキャラクター・衣装解放が中心で、プレイだけで全キャラクターを解放するのは時間がかかる。課金圧力は「強さへの影響」ではなく「見た目と使用キャラクターの幅」に限定されており、ペイトゥウィン(課金強制)ではないが、好きなキャラクターを即座に使いたい場合は課金を促す設計だ。
プレイ時間の目安として、1試合15分前後を週に数回遊ぶカジュアルな楽しみ方から、特定キャラクターをひたすら極める本格的な取り組みまで幅広い。ランク戦が実装されており、上を目指すプレイヤーには継続的な目標がある。シーズン制で新キャラクターや新マップが追加される運営型ゲームのため、長期間にわたってコンテンツが更新される。特定のキャラクターを操る技術を磨き続ける「キャラクターマスター」的な楽しみ方が中心のエンドコンテンツになる。
原作「僕のヒーローアカデミア」のファンで、バトルロイヤルをカジュアルに楽しみたい人には強くすすめる。アニメ的な爽快感とキャラクターへの愛着を両立させており、「好きなキャラを動かす喜び」を純粋に提供してくれる。逆に、リアリティのある戦術的バトルロイヤルを求めている人や、原作に思い入れがない人には刺さりにくい。「アニメIPゲームとして過去にがっかりした経験がある」という人も、まずは無料なので一試合試してみてほしい。好きなキャラクターが動いた瞬間、その判断が変わるかもしれない。
スクリーンショット











