It Takes Two

It Takes Two

開発: Hazelight Studios発売: Electronic Arts¥860
アクションアドベンチャー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

二人でプレイしているのに、気づけば笑ったり叫んだり喧嘩したりしている――そんな体験ができるゲームは、ほとんど存在しない。『It Takes Two』はその希少な一本であり、協力プレイゲームというジャンルの概念をまるごと塗り替えてしまった怪作だ。「協力ゲーム」と聞いてイメージするような、二人が同じ操作を繰り返してゴールを目指す単純な構造とは根本的に異なる。このゲームでは、章ごとにまったく別のジャンルのゲームに変身し、常に「二人が別々の役割を担う」設計が貫かれている。それが生む体験は、単なるゲームプレイを超えた、二人だけの共有記憶となる。 主人公はコディとメイの夫婦。離婚寸前の二人が何かの魔法で小人化してしまい、元の姿に戻るために自宅のあちこちを冒険するというのが基本的な筋書きだ。設定だけ聞くと軽いファミリー向けのように聞こえるが、実際のナラティブは思いのほか重く、夫婦関係・親子関係・コミュニケーションの断絶といったテーマを真正面から扱っている。笑える場面もあれば、胸をつかれるような感情的な場面もある。ストーリーを追うモチベーションが最後まで途切れないのは、単にゲームプレイが楽しいからだけでなく、二人のキャラクターの関係性がしっかり描かれているからだ。 ゲームプレイの多様性は、ほかのタイトルと比較しても群を抜いている。あるチャプターでは一方がロープを操り、もう一方が振り子のように飛ぶプラットフォームアクションになり、次のチャプターでは武器を使った3Dシューターのような展開になり、またその次では二人がそれぞれ異なる能力を持ったパズルゲームになる。同じゲームシステムが10分以上続くことはほとんどない。これは一見、浅く広く感じるリスクがあるが、実際には各アイデアがそのチャプターの物語とテーマに深く紐づいており、「なぜここでこのゲームプレイなのか」が腑に落ちる設計になっている。 操作の手触りは非常にポップで軽快だ。アクションゲームとしての難易度はそれほど高くなく、プラットフォームのタイミングも比較的ゆるやかに調整されている。ただし、二人の連携が求められる場面では「もう少し左!」「今だ!」という声のやり取りが自然に発生する。これがオンラインプレイでもローカル分割画面でも成立するのは、ゲームデザインの巧みさによるものだ。失敗しても即リスタートできるため、ストレスが積み重なりにくく、テンポを損なわずに進めることができる。 ビジュアルの完成度も相当高い。世界観は現実の家庭をベースにしながら、小人視点で見た玩具箱・庭・本棚などが巨大なファンタジーの舞台に変わる。カラフルでポップな色使いが基調だが、チャプターごとのトーンがまったく違い、雪に包まれた冬のシーン、暗い機械工場、幻想的な木の中など、美術的なバリエーションが豊富だ。サウンドトラックも各チャプターの雰囲気に合わせた多彩な楽曲が揃っており、演出の質はAAA作品に引けを取らない。 同じ協力プレイゲームとして比較されることが多いのは『A Way Out』(同じHazelight制作)や『Unravel Two』だろう。『A Way Out』は脱獄アクションという軸がブレないシンプルな構造で、よりシネマティックな体験を重視している。対して『It Takes Two』はゲームプレイの多様性と実験性に振り切っており、遊ぶたびに「次は何が来るんだろう」という期待感が続く。『Unravel Two』も協力プレイの設計が秀逸だが、どちらかというと片方がサポートに徹しやすい構造になっており、二人が完全に対等な役割を担う点で『It Takes Two』のほうが没入感は高い。 プレイ時間の目安はメインストーリー一周で10〜12時間ほど。ただしミニゲームを含めると20時間近く楽しめる要素が詰まっている。各チャプターにはメインの進行とは別に、二人で対戦できるユニークなミニゲームが隠されており、これが純粋に楽しい。ストーリークリア後の周回要素はないが、初回プレイの体験が非常に濃密なため、クリアした満足感はかなり高い。また、フレンドパスを使えば一本で二人が遊べるため、コストパフォーマンスも際立っている。 注意点としては、必ず二人でプレイする必要があるということだ。ソロプレイは一切できない。AIのパートナーもいないため、一緒に遊べる相手がいないと成立しない。また、チャプターが長い箇所では1〜2時間かけて進む部分もあるため、まとまった時間を確保できるかどうかも確認しておいたほうがいい。アクションが苦手なプレイヤーでも進められる難易度ではあるが、タイミングシビアな場面が苦手な場合は若干詰まることがある。 恋人や夫婦、親友など、長い時間を一緒に過ごしてきた相手と遊ぶとき、このゲームは特別な化学反応を起こす。普段の日常では見えなかった相手の反応や、思わず噴き出すような言い合い、ギリギリのタイミングで成功した瞬間の達成感――そういったゲーム外の記憶が積み重なっていく体験は、ほかではなかなか得られない。「協力ゲームを一緒にやってみたい」という人の最初の一本として、これ以上の選択肢はほとんど思い浮かばない。逆に、一人でじっくりプレイしたい人や、ゲームに高難度や戦略性を求める人には向かないと断言できる。 二人いれば何でもできる――このゲームはそれを、12時間かけてユーモアとエモーションで証明してみせる。
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スクリーンショット

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