
Halo Infinite
開発: 343 Industries発売: Xbox Game Studios無料
アクション無料プレイ
PlayNext レビュー
マスターチーフのバイザー越しに広がる荒野を初めて目にした瞬間、「Haloが帰ってきた」という感覚が全身を走る。Halo Infiniteは、シリーズが長年かけて積み上げてきたFPSの文法を現代的なオープンワールド設計に落とし込み、かつ無料マルチプレイヤーという間口の広さで新世代のプレイヤーをも迎え入れた作品だ。一言で表すなら「懐かしさと新鮮さが同時に押し寄せてくるFPS体験」である。
キャンペーンの舞台はリング型惑星「ザイア」の一部。広大なオープンフィールドを自由に駆け回りながら、前線基地を解放し、バンカーを攻略し、最終的にエイリアン勢力「バニッシュド」との決戦へと向かう。従来のHaloが一本道のミッション構成だったのに対し、Infiniteでは好きな拠点から攻略順を選べる。とはいえ、オープンワールドとしてはかなり小規模で、『エルデンリング』や『ゼルダ』のような探索の深さは求めていない方がいい。あくまでHaloらしい「戦場を制圧する快感」のためのフィールドであり、そこにグラップルショットという新装備が加わることで、立体的な戦闘が生まれる。
グラップルショットは本作最大の革新だ。岩壁をつかんで一気に飛び上がり、高所から敵を踏みつける。車両を引き寄せて乗り込む。崖から落ちかけた瞬間に岩に引っかかって難を逃れる。このワンツールがあるだけで、Halo特有の「銃・手榴弾・近接の三すくみ」に空間の軸が加わり、戦闘の密度が格段に上がった。操作感は従来シリーズの重厚なフィードバックをしっかり引き継いでいて、銃声一発一発に手応えがある。CoD系の軽快さとは対極にある、ずっしりとした「当たった感」はHaloの代名詞だ。
ビジュアルは発売当初こそ批判を受けたが、その後のアップデートで大幅に改善されている。ザイアの草原、霧がかかった渓谷、リングの断面が覗ける夜空——ネイティブな美しさよりも、ゲームプレイの視認性と開放感を優先した設計だ。サウンドに関しては文句なし。Marty O'Donnell時代の楽曲に敬意を払いながら独自の方向性を打ち出したスコアは、戦闘中に自然に盛り上がり、静寂のフィールドでは静かに世界観を補強する。チーフの重い足音、スパルタンスーツの駆動音——これだけでテンションが上がる人は一定数いるはずだ。
ストーリーについてはネタバレを避けつつ書くと、「マスターチーフとは何者か」という問いに真正面から向き合った内容になっている。過去作のような宇宙規模の大戦争よりも、むしろ個人的な喪失と再生の物語として機能しており、チーフという存在に感情移入できたプレイヤーには刺さる。ただし、Halo 5までの経緯をある程度知っていないと、登場キャラクターの背景が理解しにくい部分もある。シリーズ未経験者がいきなりInfiniteから入ると、世界観の全体像をつかむのに時間がかかるだろう。
他のFPSと比較すると、『Destiny 2』がルートとビルドのループで長期プレイを促すのに対し、Halo Infiniteはよりシンプルな「うまくなること」の快感を軸にしている。マルチプレイヤーでは、装備の差よりもエイムと戦術判断が勝敗を分ける純粋な撃ち合いが楽しめる。アリーナ系の競技的なFPSが好きな人、あるいは『Quake』や初代『ヘイロー』の感覚を懐かしむ人には刺さる設計だ。一方で、バトルロイヤルやウォーゾーン系の最新トレンドを追ってきたプレイヤーには、やや古典的に映るかもしれない。
プレイ時間の目安として、キャンペーンは全前線基地の解放と主要ミッションをこなすと15〜20時間。収集要素や隠しコレクタブルを丁寧に探せば30時間近くになる。マルチプレイヤーはシーズン制のバトルパスが軸で、ランクマッチで上を目指すなら数百時間単位の沼が待っている。ただし、バトルパスの進行速度に不満を持つプレイヤーも多く、課金圧力は人によって気になるレベル差がある。
注意点として、PC版は最適化がまだ完全とは言えず、特定のGPU構成でフレームレートが不安定になるケースも報告されている。また、キャンペーンがシリーズ途中からの開始のため、前作を知らないと「誰と戦っているのかよくわからない」という状態になりやすい。マルチプレイヤーのコミュニティ規模は全盛期より縮小しており、一部モードはマッチングに時間がかかることもある。
こういう人には強くすすめる——Haloシリーズを過去に好きだった人、競技性の高いアリーナFPSを探している人、無料でしっかりした対戦ゲームを遊びたい人。逆に、深いストーリーを求めてキャンペーンだけプレイしたい場合は、前作の予習なしだと消化不良になる可能性が高い。オープンワールドの探索がメインの楽しみという期待をしていると物足りなさを感じるだろう。しかし、Haloというブランドが持つ「気持ちいい撃ち合い」の本質は、Infiniteにおいても健在だ。それを求めるなら、無料で始められる今がチャンスである。
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